「管理組合」は「オーナー会」に名称を変えるべき

私は、一般に呼ばれている「管理組合」という名称は適切でないと思っています。なぜなら、それは「マンション管理の実務を行う団体」というイメージが強すぎるからです。また、「労働組合」や「協同組合」を連想してしまい、なんとなく「弱者が寄り集まって強者に対抗するような団体」というイメージもあるからです。

しかし、区分所有法によって規定されているのは、区分所有者から構成される団体なのですから、むしろ「オーナー会」と名づけたほうが、より実体を表していると思います。たしかに区分所有法はマンションをどのように管理していくかについて規定していますが、それはあくまでも手段であって、目的ではありません。「管理組合」という名称では手段ばかりが強調されてしまい、資産価値の維持と良好な居住環境の確保という真の目的をイメージしにくいのが難点です。

その点、「オーナー会」とすれば、「自分はオーナーなんだ。だからこのマンションの運営に責任を持たなければいけないんだ。」という自覚が生まれます。いつまでも賃貸意識の抜けない区分所有者から、マンションを区分所有する1オーナーとしての自覚を促し、自分の財産(=資産価値)とそこから生まれる収益(=居住環境)は自分で守るという意識を持ってもらうには、「オーナー会」としたほうが良いと思います。

「オーナー会」という名称から、プロ野球の球団オーナーをイメージしてもよいでしょう。1つの分譲マンションの区分所有者全員は、高い金銭を支払って共同出資でプロ野球の1つのチームを買収したようなものです。その球団の運営により収益を上げるのはオーナーの責任です。そして、オーナーは監督や選手を選び、テレビ放映権や球団グッズの販売などにも知恵を絞ります。マンションの場合は、管理者がチームの監督、保守点検業者や管理会社が選手に相当します。テレビ放映権や球団グッズの販売は、子供会や夏祭りなどコミュニティー活動の活性化と考えればよいでしょう。

今の管理組合はオーナーの中から輪番制や抽選で監督を選んで、毎年ペナントレースを争っているようなものです。毎年オーナー会議で選ばれたオーナー会長(理事長)が監督としてベンチに座るものの、ほとんどのオーナーは監督としての能力を備えていないため、適切な指示も出さずに、ゲーム運びは選手に任せっきり。選手の年俸も選手の言い値で決まっています。こんな状態で、果たしてこのチームは良い成績を残し、球団も収益を上げることができるでしょうか?できる訳ありませんよね。

その結果として、マンションの資産価値の低下と居住環境の悪化を招いているのに、オーナーとしての自覚がないので、そのこと自体にも気が付かずに安穏としている区分所有者がいかに多いことでしょうか。監督としての資質の備わった人材(マンション管理士)に国家資格を与える制度(マンション管理適正化法)が施行され、国を挙げてチームを応援しているのに、毎年成績は低迷し、赤字が続くばかりの球団が多い状況は、まったく嘆かわしいばかりです。

さあ、今すぐ「管理組合」という名称は止めて、「オーナー会」とでも名前を変えましょう。そして、オーナー自らは監督の座を降りて、有能な監督(マンション管理士)を迎え入れるべきです。