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2005/10/05

執筆者: naito (4:04 am)

新築分譲マンションの修繕積立金は、どこもかしこも面白いように横並びで平均6,000円だ。なぜならこれは、住宅金融公庫のリ・ユースプラスマンション融資の基準に単純に従ったものだからだ。この基準は下の通りで、新築マンションなら1戸当たりの平均月額は6,000円以上であれば良く、その最低レベルをぎりぎりクリアしているに過ぎない。

リ・ユースプラスマンション融資基準
修繕積立金(1戸当たりの平均月額)
経過年数<5年 6,000円以上
5年≦経過年数<10年 7,000円以上
10年≦経過年数<17年 9,000円以上
17年≦経過年数 10,000円以上

これには2つの問題がある。ひとつは、積立金額が定額ではなく、経過年数と共に値上げされていくということだ。日本経済がデフレスパイラルに陥り、多くのサラリーマンにとって昇給の見込めなくなったこの時代に、最初は安く、だんだん高くしていく積立金額の設定は時代錯誤も甚だしい。

住宅金融公庫がリ・ユースプラスマンション融資(当時の名称は「優良中古マンション融資制度」)をスタートしたのは、1994年。すでにバブルが崩壊し、日本企業の年功序列・終身雇用制度が見直されはじめていた時代である。しかし、住宅金融公庫にはそのような考えは毛頭なかったらしい。かの悪名高い「ゆとりローン」が、その最たるものだ。

1993年に誕生した「ゆとりローン」は、当初の5年間の返済金額は償還期間を50年に設定しているため微々たるものだが、6年目からは返済額がぐっと上昇するというもの。デフレの時代に、インフレを前提として導入された欠陥制度である。政府の景気対策の一環として、本来は持ち家に手の届かない低所得者層に住宅を無理にでも購入させようという企みだったが、実際にこの甘いワナに引っかかってしまったマンション購入者も多く、その後多くの自己破産者を生み出した悲劇は周知の通りである。

私の場合、1997年に今のマンションを購入した当時、今後の会社人生で自分には昇給は一切ないという強い自信があったので(苦笑)、この「ゆとりローン」に騙されることはなかったが、それでも「賃貸の家賃よりローン返済額のほうが安い」という甘いワナに引っかかって、住宅金融公庫で35年もの長期ローンを組んでしまった。私がローンの返済を完了するのは、実に75歳のときである。中古マンション価格は新築当時の半額近くまで下がってしまったので、今マンションを手放してもローンを完済できない。なんとも人生最大の失敗と言える。まあ、そのおかげでマンション管理士としてこのようなホームページを立ち上げることが出来たので、それはそれで良かったとも言えるが(何事もプラス思考が肝心だ)。

さて話をもどすと、マンションの区分所有者の多くはサラリーマンであり、今後昇給の見込みはないか、むしろリストラによる失業や給与カットのリスクにさらされている人々である。そのような状況では、修繕積立金を経過年数と共に値上げしていくという仕組みは、将来の破綻が目に見えている。もし小さい子供でもいようものなら、教育費は年々増えていくばかりで、マンションの積立金の増額などに回せる余裕などあるわけがない。自分は大丈夫という人もいると思うが、マンションの中では全員が同じルールに従わないといけないのだ。自分は大丈夫でも、「他の区分所有者全員が数年毎の値上げに堪えられると思うか?」という質問には、ネガティブな回答をする人がほとんどだろう。多数決決議で強引に積立金の値上げを決定しても、その負担に耐えられない滞納者を増やすだけのことである。

要は「リ・ユースプラスマンション融資制度」の条件を、経過年数によらず一定額にすべきと言うことだ。ちなみに上の積立金額の条件を築後30年間の定額で計算しなおすと、8,633円となる。すなわち、「新築時から9,000円以上」という条件だ。この金額で必ずしも十分とは言えないが、少なくとも今よりはましである。

もうひとつの問題は、マンションの規模、仕様、共用設備等によって、計画修繕のために必要となる修繕積立金の額は違ってくるということである。適正な積立額を求めるには、長期修繕計画の作成が必要となるが、例えばマンション管理センターの「修繕積立金算出システム」を利用した簡易的な長期修繕計画でも十分だろう。マンション管理センターに依頼すると、下記の費用が発生するが、いまどき、これくらいのシステムならWebのアプリケーションで簡単に構築できる。管理組合自身がホームページ上で所定のデータを入力して、必要となる積立額を自分で計算することができるようにすればいい。

修繕積立金算出システム利用料金
登録管理組合 2棟まで1棟毎に 各13,000円 (3棟目以上1棟毎に 各8,000円)
非登録管理組合 同上 各20,000円 (同上 各12,000円)
管理組合以外 同上 各30,000円 (同上 各18,000円)

ちなみに、この「修繕積立金算出システム」では、モデルケースとして竣工後4年を経過した、9階建45戸のマンションの計算例が紹介されている。このケースでは1戸当たりの積立金は30年間の定額で9,880円である。すなわち、「築年数によらず10,000円」がリ・ユースプラスマンション融資の条件となる。こちらの金額のほうが、現実の感覚に近いだろう。

不況による消費マインドの冷え込みと、少子高齢化・人口減少・世帯数減少による住宅需要の構造的な低迷で、ただでさえ分譲マンションの買い手がいなくなっている時代である。デベロッパーとしては、なるべく管理費・積立金を低く見せたいのだろうが、それは購入者をだますことであり、許すことはできない。そもそも管理費と積立金の見分けのつかない購入者にも問題はあるが、マンション管理組合の運営方法など学校でも教えてくれないし、無知な消費者は法律によって保護されてしかるべきだ。新築入居時に適正な積立金の設定をしていないデベロッパーが、不当表示防止法に違反することはないのか、JAROは審査を開始すべきだろう。

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