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2005/10/13

執筆者: naito (1:37 am)
「マンション管理士」という肩書きを持っていると、マンション購入を考えてる方からも相談を受けることがある。先日もご子息のためにマンション購入を検討している知り合いから相談を受けたが、話をよく聞いてみるとマンションを早く買わせたくて物件探しをしているのは親御さんだけで、当のご子息は住宅取得をまだ真剣には考えていないご様子。結局、無理な長期ローンを組んでまで買わないほうが良いとアドバイスした。

この知人は典型的な団塊の世代。いわゆる「住宅すごろく」で、バブル崩壊前に賃貸アパート→分譲マンション→一戸建ての「上がり」に到達し、住宅ローンも完済している幸福な世代である。自らの成功体験もあり、持ち家志向が極めて強い。この世代に共通するのは、「賃貸で家賃を払っているのは、ドブにお金を捨てているようでもったいない。」という考えが強いことである

たしかに、バブル崩壊前は先に不動産を購入した者ほど儲かった時代だったので、無理に借金をしても早く住宅を購入したほうが良かった。しかし、もはや時代は変わってしまった。バブル崩壊後は先に不動産を購入した者ほど損をする時代となった。土地価格の下落はどこまで続くのか底が見えない。都心の一部で地価が下げ止まったり、逆に値上がりしている場所もあるが、それは超高層マンションの建設用地の取得などによるもので、あくまでも例外的なものに過ぎない。今後は少子化の影響で、2006年から日本の総人口は減少に転じる。それから9年遅れて、日本の総世帯数も2015年から減少に転じる。

日本の住宅価格は、世界的に見ると飛びぬけて高い。一般に住居用マンションの価格は、賃貸用マンションの価格と比べて倍くらいの高値だ。それは賃貸用マンションの価格が収益計算法で決まるのに対して、居住用マンションの場合は、周辺の取引相場から価格が決まるからである。すなわち、賃貸用マンションの価格はその部屋を賃貸したときに得られる家賃収入が概ね年利10%程度になる価格(=年間家賃収入の10倍程度の価格)であり、居住用の場合はその2倍程度になる。

しかし、居住用マンションがこのような高値で取引されるのはあくまでも売りに出した住戸に買い手が存在することが前提であり、買い手が存在しなければ最終的には収益計算法による価格にまで下落する。今から10年後には世帯数が減少を始めるということは住宅ストックが余り始めるということであり、マンションを売りたくても買い手がいなくなるということを意味している。すなわち、居住用マンションも賃貸用マンションの価格まで確実に下落する。これだけでもマンションの価格はまだまだ下落を続けることが明らかで、少なくとも今から20年後には今の半額程度までは確実に下がるだろう。高過ぎた日本の住宅価格も、やっとグローバルスタンダード(世界標準)の水準まで下がるわけだ。

しかも、2006年3月期から摘要される減損会計の影響で、バブル期に購入した土地の含み損を抱えた企業から、大量の土地が売りに出される。すでに大企業ではバブル期に購入した土地の整理が進んでおり、それらの跡地に超高層マンションの建設ラッシュが続いていることは周知の通りである。今後は土地の整理があまり進んでいない中小企業から大量の土地が売りに出されることになり、ますます土地価格の下落は進むことになる。今では信じられないくらいに土地が入手可能になるため、この頃のマンションの標準的な広さは4LDKで100〜120平米程度になるだろう。「ウサギ小屋」と揶揄されていた日本の住宅も、その広さに関して、ようやくグローバルスタンダード(世界標準)になる訳だ。それがサラリーマンの年収の2.5倍程度で手に入るようになる。住宅事情に関してだけは、未来はとても明るいと言える。

そうなると今の標準的な広さである3DKで70平米程度のマンションは、せいぜい年収の1.5倍程度の価値しかなくなる。長期修繕計画を立てて、しっかりとした維持管理を行っても、所詮その程度の資産価値しか残らないわけだ。せっかく「マンションみらいネット」の評価制度で5つ星の評価を受けたとしても、これではあまり報われないではないか。そんなヒマがあったら、マンション価格の暴落が始まる前に売り抜けて、煩わしい管理組合付き合いのない安くて広くて良質な賃貸住宅に移り住むのが正解と思う人がいても不思議ではない。

ローンの支払がマンション価格の下落に追いつかないので、マンションを買った瞬間に含み損を抱えた状態になる。したがって、ローンを払い終わるまで転売は不可能。しかも、ローンをやっと完済したときには、転売しようと思っても買い手がいない。したがって、マンションを買うなら、一生をそこで過ごす覚悟が必要だ。

どうしも買うのであれば、以下の質問に冷静に答えてほしい。
(1) 資産価値の下落でカネをドブに捨てる結果になっても、そのマンションを買いたいのか?
(2) もし今の会社をクビになったとしても、ローンを支払っていけるだけの十分な収入が見込めるのか?
(3) 死ぬまでそのマンションに住むつもりがあるのか?
ひとつでも「ノー」があるのなら、悪い事は言わない。安易にマンションは買わないことだ。

最後に、すでにマンションを買ってしまった人たちへ。

人間には「安全バイアス」という習性があって、目の前に危険が迫っていても、一緒にいる他人が動かずにいると、自分も逃げるタイミングを逸して結局逃げ遅れてしまうのだそうだ。以前テレビ番組で実験をしていたので見た方もいらっしゃると思うが、大勢の人間が待機している会議室に火災報知器のベルが鳴り響き、ドアの隙間から煙が部屋の中に充満してきても、周囲の実験協力者が誰一人逃げ出さないでいると、被験者も逃げ出すことはしない。

まだ川の流れは緩やかで、多くのマンション住民は危険が迫っているのに気が付いていないが、その先には中古マンション価格の暴落という巨大な滝がある。もし死ぬまでそのマンションに住み続けるつもりがないのであれば、滝つぼにまっさかさまに落とされる前に、損切り覚悟で早目に売り抜ける脱出策を一所懸命考えるべきだろう。さもなければ、自分と運命を共にするマンションにもっと愛着を持って接してほしい。マンション管理を他人任せにはしておけなくなるはずだ。
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投稿日時: 2005-10-13 14:25  更新日時: 2005-10-13 14:25
 kazz
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投稿日時: 2005-10-13 15:12  更新日時: 2005-10-13 15:12
 
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投稿日時: 2005-10-13 16:57  更新日時: 2005-10-13 16:57
 kazz
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投稿日時: 2005-10-16 23:45  更新日時: 2005-10-16 23:45
 
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