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2005/11/21
マンション管理士はベンチャー精神を持て

執筆者: naito (6:30 pm)
マンション管理士は儲からない商売なのか
平成13年度から平成16年度にかけてのマンション管理士試験の合格者数は16,699人。そのうちマンション管理士情報検索サービスに登録をしているのは、2005/11/21現在で2,290名。合格者の中のたった14%にすぎない。この検索サービスに登録しているということが、必ずしもマンション管理士業を生業とする意思表示とは限らないので、実際に独立開業を目指すマンション管理士の数はもっと少ないことになる。これに対して全国の分譲マンション物件は約9万7千件。検索サービス登録者一人当たり、最低でも約42件の見込み客があることになる。ところが現実には、マンション管理士として有償業務を行っている者はほんの一握りである。実際に、昨年度の神奈川県マンション管理士会のアンケート調査でも、マンション管理士としての有償業務を専業で行っている会員は全会員の4%に過ぎず、兼業で行っている会員を合わせても16%に過ぎない。準備中と思慮中の会員が43%で、残りの41%はもともと有償業務を予定していないか無回答である。

このデータからも明らかなように、今のところマンション管理士は簡単には儲からない商売だと言うのが事実だ。これは取りも直さず、マンション管理適正化法に定められたマンション管理組合に対する助言・指導というビジネスモデルが、市場のニーズと懸け離れていることに他ならない。まず、マンション管理士制度を利用するには、管理組合役員の意識が高くなければならないが、多くの管理組合役員が1年任期の輪番制であり、管理組合役員の意識は高くなりにくい。逆に、管理組合役員の意識が高いマンションでは、住民主導で管理組合活動が活性化しており、あえて専門家の助言・指導を必要とせずとも、それなりに自立できているケースが多い。仮にもし管理組合が専門家の助言・指導を必要と感じても、有償での助言・指導を仰ぐには、一般会計の収支にそれなりの余裕がなければならない。特に最近ではマンション管理士資格を持つ管理会社のフロント担当者も多く、日常の問題やトラブルに関しては、管理会社に相談をすることで解決できてしまうことも多いので、対価を支払ってまでマンション管理士制度を利用する意味は見えにくくなっている。

マンション管理士に対するニーズはあるのか
マンション管理士に対する潜在的なニーズがあることは間違いない。あせらず、あわてず、あと10年も待てば、マンション管理士に対するニーズは自ずと高まるはずだ。なぜなら、10年後には少子高齢化のために世帯数の減少が始まるからだ。当然マンションストックも余剰となる。立地条件の悪い郊外のマンションは投売り状態になり、資産価値の低下に歯止めがかからなくなる。空き住戸や滞納者が増え、管理の悪いマンションではスラム化が進み社会問題となる。外資の参入により専有住戸の証券化も進み、管理組合の主導権を一般の区分所有者ではなく投資家が握ることになる。それによりマンション全体の居住環境が向上すれば良いが、一部の投資家のみのメリットばかりを押し付けられて無知無関心の区分所有者が不利益を被るようなトラブルも発生してくる。

そうなれば、自ずとマンション住人の意識も高まり、マンション管理士に対するニーズも増えてくるだろう。スラム化したマンションは管理会社からも見放される。5分の4以上の議決権を獲得した一部の投資家に建替えを決議され、退去を余儀なくされるマンション居住者も現れてくる。そのときにマンション管理組合が助けを求める専門家はマンション管理士しかいない。スラム化して管理会社が見放したマンションに乗り込んだり、自分の利益しか考えない投資家に立ち向かったり、素人の手に負えない問題解決のために体を張って正面からトラブルに向き合えるようなマンション管理士が必要とされる時代は必ず来る。

しかし、そのような時代が訪れるまで10年も待てないのであれば、自らの手で市場を開拓していくしかない。一部ではマンション管理士に業務独占権など何らかの利権を与えてもらうことを行政に期待する向きもあるが、この規制緩和の時代にそれを期待すること自体がナンセンスだろう。世の中に不平不満ばかりを並べても仕方がない。自分を変えることによって、自らの手でビジネスをつかみとるしかない。そのことによって初めて世の中も変えることができるというものだ。

今のところ、こうすればマンション管理士は儲かるという確固たるビジネスモデルは存在しないが、全国に約9万7千件のマンション管理組合と、510万戸の区分所有者が市場として存在することは紛れもない事実である。その大きな市場を前に、ベンチャー起業家としての意識を持って、様々なアイデアで自ら新たなビジネスモデルを確立するという覚悟が必要だ。現に独立開業し、専業として成り立っているマンション管理士は、様々な方法でマンション管理組合と接触する場を創出し、そのニーズを敏感に感じ取りながら、自らが持つ知識とノウハウを駆使して、顧客の満足を得るための最大限の努力を怠っていない。その中で数多くの経験を重ねながら、数多くの失敗から多くのことを学び、自分なりのビジネスモデルを確立しつつある。ただし、他人と同じやり方で必ずしも成功するとは限らない。マンション管理士は体ひとつが資本であり、自分が持つあらゆる経験や知識、ノウハウを駆使しながら、全人格で勝負する世界だ。先達のノウハウを参考に、自分なりのビジネスモデルを工夫しながら作り出す必要がある。

「Quality Of Life」を演出せよ
マンション管理士の新しいビジネスモデルを創出するに当たって、ひとつのキーワードとなる可能性があるのは、「Quality Of Life」(生活の質)だろう。モノ余りの時代に、生活の良し悪しを単に物質的な面から量的にとらえるのではなく、精神的な豊かさによる質的な満足度を重要視するライフスタイルが尊重されるようになってきた。その一方で、マンション居住者の大多数は自分の生活にしか興味がない。マンションの共用部分は家の「外」であり、自分の持ち物という意識は薄い。多くの住人にとってマンションの管理費と修繕積立金は、家賃や税金のようなもので、コストにしか過ぎない。義務感から仕方なく払っているだけで、安いに越したことはない。管理費や修繕積立金も単なるコストであり、自らの生活の質を高めるための投資という考え方がないために、いったん払った後はその使途にはまったく無頓着になる。一般にマンションの区分所有者が、管理組合活動に対して無知・無関心である根本的な原因もそこにある。

マンション管理士に対する顧問契約料も同様で、コストとして捉えられてしまうのが普通だろう。したがって、管理会社の定額管理費を削減することで顧問契約料を捻出させ、管理組合に取り入ろうとするマンション管理士もあるが、単なるコストカッターとしての役割しか果たせないと、コスト削減後はお払い箱になる危険性が高い。マンションの共用部分を自分の家の一部と感じてもらい、マンションに対する愛着を深めてもらうには、適正なマンション管理が自分の生活の質を高める上で重要な役割を果たしていることを実感してもらうしかない。そもそも区分所有者は、マンションでの暮らしと持ち家のステータスにあこがれて何千万円もの高い買い物をした人たちである。自分の家族を愛し、そのQuality Of Lifeを得るための投資には、カネを惜しまない人たちである。マンション管理士との顧問契約を、コストではなく生活の質を高めるための投資と考えてもらうことさえできれば、彼らは喜んで顧問契約料を払うようになるだろう。マンション居住者に生活の質の向上を実感してもらうために、マンション管理士は何をすべきかをよく考えてほしい。その答の中に、マンション管理士の新しいビジネスモデルを構築するための大きなヒントが隠されている。

愉快で楽しい管理組合を目指せ
そのひとつのヒントは、普通のマンションでは管理組合役員になることは誰でもいやがることだ。輪番制にしたり、抽選にしたり、役員の確保にはどのマンションも苦労しているのが現状だろう。誰でも面倒な事は引き受けたくないからだ。しかし、実は管理組合活動は楽しいものなのだ。それまで見ず知らずだった同じマンションの住人と力を合わせて、自分のアイデアを活かして色々なことを実現できる。階段下のデッドスペースを使って駐輪場を増設しようとか、殺風景なゴミ置き場の周囲に花壇を作ろうとか、「マンションのしおり」を作って全戸に配布したり、バーベキューパーティを企画したり、クリスマスツリーの飾り付けをすることも可能だ。もちろん総会で承認を得ることが前提となるが、自分がオーナーなのだから、本来は好きな事ができて当たり前なのに、なぜか誰もやろうとしない。なぜだろうか。

その一番の原因は多くのマンションが採用している1年任期の輪番制にある。自分が新任役員になったときには、事業計画や予算案は前任者が作成済みで、それを実行することだけが義務づけられる。これでは「やらされ感」ばかりが強くて、やる気も起きないのが普通だろう。本来人間は自分でやろうと決めたことは全力を尽くしてやるものだし、そのことによって得られる達成感は何事にも代えがたい。そのためには少なくとも役員の任期は2年以上にして、最初の1年間は先輩役員に色々と教えてもらいながら経験を積み、次期の事業計画と予算案を策定し、2年目にそれを実現するという方法もあるだろう。あるいはわざわざ1年も待たなくても、理事会の自由裁量で使途を決められる予備費を定めておいたり、臨時総会を開けばよいだけの話である。管理組合活動の楽しさを演出して、理事会そのものがエンターテイメントの場になるように持っていけたら、それだけでも住人の生活の質の向上に大きく貢献できるようになる。そこにも大きなヒントがある。人のいやがることにこそ、大きな市場ニーズがあることに気付いてほしい。

「2007年問題」をチャンスと考えよ
もうひとつのキーワードとなりそうなのが、「2007年問題」である。1947年〜1951年生まれの、いわゆる「団塊の世代」が退職年齢に達し始めることである。それまで会社人間だったサラリーマンが大量に退職を始める。退職後はまさに毎日が日曜日で、好きなゴルフや旅行、読書三昧で、待ちに待った夢のような日々だ。しかしその喜びが続くのもせいぜい3ヶ月で、いずれ飽きてしまう。後は特にやるべきこともなく、悶々と暮らす退屈な日々が待っている。そのような定年後のサラリーマンが、自分の住むマンション管理組合の活動に、それまでの人生経験を活かして力を注ぐようになることは大いに考えられる。彼らは第2の人生を実りあるものにするために、新たな資格取得の意欲も高い。マンション管理士資格もその候補のひとつになる。

このような定年後サラリーマンのマンション管理士資格の取得目的は、必ずしも真剣に独立開業を考えているケースばかりではない。自分の住むマンションの管理の適正化のため、自己研鑽が目的というケースも多い。しかし、マンション管理士の資格さえあれば、マンション管理はうまく行くという単純なものではないことにすぐに気が付くことになる。仮にマンション管理士の資格取得で、あわよくば一儲けしようという気があったとしても、単に資格を取っただけでは収入に結びつかないことや、たいした苦労もせずに簡単に儲かる商売ではないという現実をすぐに知ることになる。マンション管理に関わることに喜びを感じる人々も現れる一方で、他のもっと自分の好きな物事に興味が移る人々も現れる。マンション管理に対する意識は高まったものの、自分たちだけで適正な管理を行うことには限界を感じており、住宅ローンも払い終えて経済的にも比較的余裕がある。そのようなマンション管理組合にうまくアピールできれば、マンション管理士との顧問契約が一気に進む可能性もある。

自己の商品価値を明確にアピールせよ
どのようなビジネスモデルを確立するにしても、新たな市場に切り込んでいくには、顧客にとって対価に見合ったメリットを明確にアピールできることが必要だ。そのためには、自分が欲しいと思う報酬額を考えるのではなく、自分が提供するサービスがどの程度の価値のあるものかを考え直してみることも大事だ。マンション管理士は管理組合にマンション管理の知識やノウハウを売るのが商売の基本であるが、それらの大部分は書籍やインターネットによって容易に得ることのできるものだ。マンション管理に関する無料セミナーも多い。行政による無料相談会も各地で行われている。電子メールでなら、無料で相談に応じるマンション管理士も多い。

その範囲に留まる限り、マンション管理に関する知識やノウハウ自体は実はあまり商品価値は高くないと言える。法律に関するスペシャリストである弁護士だって、単なる法律相談だけでは業は成り立たない。彼らは顧客に代わって法廷に立ち、法律を武器に相手と戦う実務によって高額の報酬を得ているのだ。マンション管理士も同様に、本やインターネットでは容易に得られない知識やノウハウを活かして、管理組合や区分所有者にどのような、価値のあるサービスを提供できるかを常に考えていかないとビジネスとしては成り立ちにくい。それは必ずしもマンション管理の知識やノウハウに留まらない可能性がある。経営学、経済学、心理学、語学などの知識から、気配りや思いやり、明るさと言った人間性、果ては豊富な人生経験や人脈に至るまで、全人格的な能力を発揮させることが要求されているビジネスと言っても過言ではないだろう。

一方、実務経験のまったく無いマンション管理士が存在するなど、同じマンション管理士の中でもそのレベルに差があり過ぎることも問題だろう。マンション管理士の資格を持つ区分所有者が他の居住者とトラブルを起こすなど、一部にはマンション管理士に対するマイナスのイメージさえもある。玉石混合とも言える数多くのマンション管理士の中から自分を選んでもらうために、どのように自分の商品価値を高め、他のマンション管理士と差別化できるかを考えると同時に、それを管理組合にどのようにアピールするかを考える必要もある。

今後は、プロのマンション管理士として業の成り立ちを目指すマンション管理士と、そうでないマンション管理士の2極化がより進むことになるだろう。それだけにマンション管理士という肩書きが、弁護士や公認会計士のように社会的に一定のステータスを持つようになることはまったく望めないと考えてよい。もし業の成り立ちを目指すのであれば、マンション管理士という肩書きにはあまり固執しないほうが賢明だ。自分をマンション管理士としてアピールするのではなく、マンション管理士としての自分をどのようにアピールするかを考えたほうが良い。学歴も肩書きも資格も、その一切を取り払ったときに残る自分という存在に、いったいどのような商品価値があるのかを、考えてみることだ。その棚卸しをした上で、どのようなビジネスモデルで勝負をかけるのか、色々なアイデアを思いついたら、すぐに試してみるのがよい。チャレンジを繰り返し、失敗から多くのことを学んだ者が勝者になれるのがベンチャービジネスの世界だ。マンション管理士としてのビジネスは、まさにそのような世界だということを自覚した上で、失敗を恐れずに何事にもチャレンジしてほしい。
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ゲスト
投稿日時: 2005-11-22 23:21  更新日時: 2005-11-22 23:21
 たけ
前にも書いたかも? ベンチャービジネスとはまず、「やりたい事」があり、それが優先。そして、「やりたい事」の継続がビジネスへ、、 ニュービジネスとは、比較する数値が前提であり、ベンチャービジネスとはちがう。ところが、ベンチャーも成果が出てくると、いつしか利益とか前年比とか同業他社比とかに関心が向く、、常に、ベンチャーでありたいもの! これある経営者の言葉です。 管理士は???ベンチャーであるべきと言ったことがある。 でも、人事ですから(=管理士でないから)、無責任な言葉です。 最近のお気に入りの言葉 何事も真剣にやれば、知恵がでる 中途半端にやれば、愚痴がでる いいかげんにやれば、言い訳がでる。 知恵の塊でありたいものですね
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