日本マンション学会「マンション管理実務連続講座」の第1回を受講

昨日(2/01)、東京都文京区のすまい・るホールで行われた日本マンション学会の「マンション管理実務連続講座」の第1回を受講しました。中央学院大講師の平澤修氏による「マンション犯罪の特徴と類型化」では、ドア錠やオートロックへの過信により発生する犯罪や、「ピアノ殺人事件」に代表される近隣居住者とのトラブルによって発生する犯罪などを類型化して説明しながら、「ハード面での改善だけでなく、住民が連帯意識を持つことが一番大事」と結論付けました。警視庁の田代芳広氏による「マンションを取り巻く犯罪の現状とその防止」では、鍵の模型を使ったピッキングの説明や、「ガサ入れ」の現場での住居侵入方法など、興味深い話題を織り交ぜながら、犯罪者が犯行を諦める理由の第1は、近所の人からじろじろ見られたり、声をかけられたりすることであり、コミュニティーを醸成することにより「マンションや地域ぐるみで仕事しにくいと思わせることが最上の防犯対策」と結論付けました。やはりハード面での対策も重要ながら、住人の意識やコミュニティーと言ったソフト面での対策が一番大事なようです。田代氏は今年に入ってからサムターン回しによる被害が急増していることにも触れ、ペットボトルの底を使った応急対策をすぐに行って欲しいと訴えていました。みなさんのマンションでもご注意ください。後半は高崎健康福祉大教授の松本恭治氏による「居住環境とマンション管理」。数多くのスラム化したマンションの調査に基づき、最近のマンション価格の低下によって、経済的に不安定な購入者が増え、滞納者が増えることから役員のなり手も少なくなり、スラム化が進むという構図を明らかにしました。特に、販売価格の高い人気マンションでは徒歩15分内の近隣住民が購入している率が高く、居住者の間にもすでに交友関係があるケースが多いため、自然にコミュニティーの形成が進むのに対して、低価格の不人気マンションでは遠隔地からの購入希望者を待つしかなく、管理意識の低下や未熟なコミュニティーがスラム化を招いているとしました。そして、単に築年数だけで価格が決まる中古マンション市場に問題があるとして、管理組合全体での滞納額を中古マンション購入時の重要事項説明書に入れるなど、しっかりとした管理を行っている優良マンションと、そうでないマンションは選別されるべきと結論付けました。2002/12/06の「今日の話題」でも触れた、東京都の優良マンション登録表示制度のようなマンションの格付け制度が全国に普及して、中古マンション価格を決定する大きな判断材料になることにより、マンション居住者や購入者の意識が高まることを期待します。読者の方からご要望をいただきましたので、ちょっと長い説明になりました。この連続講座の第2回は2/08(土)。お楽しみに。