マンション建替え円滑化方策検討委員会のレポート

日経住宅サーチの「マンション管理サテライト」の2003/06/23付記事「第31回 マンションの建て替え問題」で、マンション建て替えの現状、必要性および管理組合の意識について触れられています。国交省のマンション建替え円滑化方策検討委員会のレポートによると老朽化などによる建て替え事例は69件、阪神・淡路大震災の被災マンションの再建が108件で合計177件。老朽化による建替え事例は、ほとんどが容積率に余裕がある等価交換方式で、区分所有者の負担が大幅に軽減できたケースに限られているそうです。一方被災マンションの再建では法制面、経済面、技術面等で多くの困難があったものの、住宅供給公社や民間事業者等の特段の理解と協力の上に実現したとのこと。今後はこのような条件に恵まれたケースは限られるため、区分所有者たちが自助努力によって事業を実施していかなければなりません。上の記事では、「組合員の「意識」と「知識」の両レベルを向上させ、同時に建て替えの必要性を訴えつつ合意形成へと導いていくには多大な時間と労力が欠かせない」としながら、5分の4以上の多数決だけで建替えを可能にした区分所有法の改正が、新耐震基準以前のマンションの地震対策や、古く狭い住宅からの脱却を促進するものとして評価しています。私自身、築20年に満たないマンションの方から建替えに関する相談を受けるなど、建物の物理的な老朽化よりも、むしろエレベーターがなかったり、専有面積が狭かったりといった機能的・社会的な劣化による建替えの要望が今後は強くなってくるように思います。より快適な住環境を得るための手段のひとつとして、マンション管理の延長上に建替えを位置づけ、住人全員の知識と意識を高めながら合意形成を図っていくことが必要なようです。