マンション管理組合の予算にない出費の権限

読売新聞 YOMIURI HOME GUIDEの「住まいの相談室」の2002/09/26付記事「マンション管理組合の予算にない出費の権限について」で、理事会が予算にはない防犯カメラを設置したことを問題視する相談者のQ&Aが載せられています。マンション内で盗難事件があったため、緊急対策として設置したようですが、相談者は臨時総会の開催や住民投票もできたはずと納得していません。一般に予算を変更する場合には、臨時総会が必要になりますが、急を要する場合や、臨時総会を開くほどの額ではない場合、理事会のリスクで予算にない出費を行い、その後の総会で追認を得るという場合があります。うちのマンションの場合、理事会の決裁で自由に使える予備費を年間予算の5%程度確保しているため、不意の出費に対しては予備費の範囲内でほとんど対応が取れるのですが、昨年カム送り解錠が必要になった時期は、ちょうど年度末から定期総会までの間の、正式に承認された予算がない空白期間だったため、臨時総会を開催すべきかどうか、理事会の中で議論が起きました。結局、毎年認められている予備費で十分にカバーできる出費であることから、定期総会で追認をいただくことにして、理事会のリスクで対策工事を行いました。ここで言う「理事会のリスク」とは、もし総会で追認が得られなかったら、理事全員で責任を取って工事費用を弁償する覚悟があるという意味です。もちろん、全戸に説明のための文書を配布するなど、事前に広報活動は十分に行い、住人のみなさんの理解を得る努力は怠りませんでした。マンションの管理では、予期しない事故やトラブルなどで不意の出費が必要になることがあります。そのために予備費をある程度確保しておいても、逆にその使途が問題視される場合もあります。日頃から理事会の運営をオープンにし、広報を十分に行うことで、柔軟な対応ができる体質にしておくことが大切な事だと思います。