横浜市「マンション管理規約の手引き」の発表

横浜市建築局の主催により神奈川中小企業センターで行われたマンション管理セミナー「横浜市のマンション管理支援施策発表会」に参加してきました。会場には約150名の参加者が集まり、全員に横浜市建築局が新たに作成した「マンション管理規約の手引き」が配布されました。関東学院大教授の山本育三氏は基調講演でマンションの歴史を簡単に紹介した後、マンションの長命化のためには何をすべきか、何を変えていくべきかがこれからの重要課題であるとしました。次に横浜市建築局住宅部民間住宅課長の國原章弘氏により、「マンション管理規約の手引き」が紹介され、横浜市では50戸以下の小規模マンションが管理組合数で全体の4分の3を占めているが、そのような小規模マンションでは役員のなり手が少なく、管理に関する情報・ノウハウも不足している場合が多く、それらの課題に対応するために管理組合自らが管理規約を整備する際のマニュアルとして作成したとの説明がありました。具体的には賃貸人や不在の区分所有者を役員としたり、2年任期半数改選制の導入、マンション管理士等の専門家の活用など、従来の標準管理規約からさらに踏み込んだ横浜市独自のモデル管理規約が提案されています。特に、理事長とは別にマンション管理士等を管理者として選任し、実務面で理事長の負担を軽減することで、管理組合の自主的な管理運営を進めやすくする場合のモデル管理規約も提案されており、注目すべき内容になっています。引き続き行われたパネルディスカッションでは、山本育三氏をコーディネーターとし、パネラーとして横浜マンション管理組合ネットワーク会長の松野輝一氏、マンション管理相談員の田中信男氏、弁護士の篠原みち子氏、東急コミュニティー田園都市支店長の小山忠氏、横浜市建築局の國原章弘氏が参加して、これからのマンション管理の方向性についての意見交換が行われました。特に篠原氏は過去のご自身の体験を紹介しながら、「規約や議事録がちゃんとしていない場合、弁護士としてもお引き受けできない」とし、管理規約のとりまとめ等、弁護士としては動きにくいところに、マンション管理士の活躍の場があるとしました。横浜市による今回のモデル規約の作成やセミナーの開催は、マンション適正化法で定められた地方自治体の情報提供義務によるものとの説明でしたが、これらの先進的な取り組みは大変高く評価できるものと思います。このような動きが全国的に広がっていくことを期待します。なお、この「マンション管理規約の手引き」は2?3日後には横浜市建築局のホームページからPDFファイルの形でダウンロードできるようになるとのことです。私の住むマンションのホームページもその中で紹介されていますので、ぜひご覧ください(^_^)。