履歴システム「マンションみらいネット」の登録費用は無料にせよ

今秋から募集開始となるマンション履歴システム「マンションみらいネット」の登録費用は、ここにあるように単棟型のマンションで初年度4?5万円、2年目以降の更新費用1?2万円となるようですが、私はこれはすべて「無料」にすべきと思っています。

これは、別に税金を注ぎ込めという話ではありません。履歴システムの利用料金は無料にしても、有償サポートで運営費用を捻出するというビジネスモデルが十分に成り立つと考えるからです。すなわち、履歴システムの入力インターフェースを一般に開放して、登録したい管理組合は、自分たちの手で登録作業ができるようにします。この場合は無料です。ただし、登録事項はかなり専門的な内容ですから、自分たちではできない場合には、マンション管理士等のサポートを得ることになります。この場合だけ有料にすればよいのです。

サポートを依頼されたマンション管理士は、自分で入力してもよいし、マンション管理センターに調査用紙を送って入力を依頼してもよい。そして、マンション管理センターに入力を依頼した場合には、そのマンション管理士はマンション管理センターに一定の手数料を支払う形にします。この最後の形が、現在想定されているマンション履歴システムの形に一番近いものですが、この場合の手数料収入だけで、システムの運営費用は十分にまかなえるはずです。あるいは、システムへの入力方法を説明するセミナーを有料にしてもいいと思います。セミナーに出なくても、マニュアルを読んだだけで入力ができる管理組合やマンション管理士には負担がかからないことになります。

2005年3月末時点の国内ブログ利用者数は延べ約335万人、月に1度はブログを更新しているアクティブブログ利用者数は約95万人、ブログ閲覧者数は約1,651万人(総務省調べ)という状況を考えれば、管理組合が自分たちで登録・更新することは決して不可能ではありません。システムへ登録する手順を簡単なものにして、それを一般の管理組合に開放するだけでよいのです。システムの開発費に何億円も注ぎ込んでいるのなら、それくらいのインターフェースの実現は簡単でしょう。

もし、システムのインターフェースを一般に開放した場合、登録内容の信頼性に懸念があるのなら、例えば入力資格をマンション管理士だけに限定してもよいでしょう。そして、登録料金の設定を個々のマンション管理士に任せれば、競争原理が働いて、安くてより良いサービスを管理組合に提供できるようになるはずです。なぜなら、履歴システムを通して管理組合との接点を得られるメリットを考えれば、無償で登録・更新に応じるマンション管理士がいてもおかしくないからです。そして、登録を依頼するマンション管理士の選定を市場に任せることにより、マンション管理士が提供するサービス品質も競争原理により向上することになるでしょう。

そもそもマンション履歴システムの目的は、マンションストックの循環型市場を作り出すことにあります。そのためには、より多くの管理組合にこのシステムを利用してもらわなければ意味がありません。登録・更新費用を「無料」としない限り、それは望めないことだと思います。「無料ならやってみたい」と考える管理組合もあれば、「有料でも手のかからないほうがいい」と考える管理組合もあるはず。もちろん「マンション管理士の派遣を含めて、すべてマンション管理センターに任せたい」という管理組合もあるでしょう。多様な管理組合の要望に応えることのできるシステムにしてこそ、「マンションみらいネット」は循環型市場を作り出すという当初の目的を達成できるものになると思います。