電子署名の活用 コスト、安全面など、多くの課題

住宅新報 2005/05/10号 (マンション管理 この人に聞く)

02年の区分所有法改正に伴い、マンション管理組合は、パソコンやインターネットを利用した電磁的方法によって、議決権の行使や、規約・議事録の作成、保管などができるようになった。議決権行使に関しては、管理組合のホームページがあれば比較的容易に実施可能で、電子投票の機能を備えた管理組合専用ホームページの提供を始めた管理会社もあるなど、導入の動きも徐々に見え始めている。一方で、規約や議事録の作成、保管については、同法で役員などによる”電子署名”が必要と定められている。しかし、この電子署名自体がまだ一般に普及していないこともあって、導入した管理組合はほとんどないのが実情だ。そこで、電子署名の実際の方法や、管理組合が利用する際の注意点などについて、神奈川県マンション管理士会広報担当理事の内藤正裕氏に聞いた。

−電子署名とはどのようなものですか。

「電子署名は『秘密鍵』『公開鍵』『電子証明書』で構成され、秘密鍵は署名人が保管し、公開鍵と電子証明書は署名に添付して公開する。これは分かりやすくいうと「印鑑」と「印鑑証明」に例えることができる」

−具体的にはどのように利用するのですか。

「秘密鍵と公開鍵はペアになっており、秘密鍵によってデータを暗号化することが可能で、公開鍵には暗号化されたデータを元の状態に戻す機能がある」