管理組合を法人化するメリット

日経住宅サーチの「マンション管理サテライト」の2003/02/03付記事「第21回 管理組合の法人化」で、管理組合を法人化するメリットが紹介されています。少し補足を加えながら要点をまとめると、まず権利義務の主体が明確になり、管理組合として土地などの資産を所有することができるようになります。また、あらかじめ規約で定めておけば、4分の3以上(あるいは5分の4以上)の賛成が必要な特別決議事項と義務違反者に対する訴訟の提起を除いて、総会決議なしに役員が管理組合業務を執行することができるようになります。また対外的な信用力も増え、理事長の個人財産と管理組合財産の区分けが明確になるというメリットもあります。なお、標準管理規約に基づいて、理事や監事を定め、毎年の総会の開催と議事録の作成をきちんと行っている管理組合であれば、理事長が亡くなったときに管理組合財産の所有権をめぐって相続人との争いになるようなことはまずありませんが、逆に言えば管理組合がまともに機能していないと、そのようなリスクもあるということになります。また、管理組合がトラブルに巻き込まれて、訴訟になったときにも、法人化しておけばいちいち原告や被告を定めるための総会を開く必要がないため、対応が取りやすいというメリットもあります。もっとも、法人化していなくても、訴訟の際に管理者が原告や被告になることは規約で定めておくことが出来ますので、滞納者や規約違反者に対する訴訟については総会を開かずに理事会決議で可能にしている管理組合が多いと思います。したがって、競売された部屋を管理組合が取得するというようなことでもない限りは、それほど法人化のメリットはないようにも思えますが、むしろ法人化そのもののメリットよりも、法人化することで居住者の意識を高める効果が大きいという声もあるようです。区分所有法の改正により、法人化に必要な区分所有者数(30人以上)の要件が撤廃されて、今後は小さなマンションでも法人化が可能になります。いずれにしても、そのメリットを理解して、必要なときに適切な対応が取れるようにしておくのがよさそうです。