地上波デジタル放送への備え

今年12月にテレビの地上波デジタル放送が始まる東京、大阪、名古屋の3大都市圏周辺で、現行アナログUHF放送との混信を防ぐための「アナアナ変換」が昨日(2/09)から、スタートしました。これは地上波デジタル放送がUHF帯を使うため、既存のアナログUHF放送の周波数帯を別の周波数帯に変換するもの。対策の必要な世帯を戸別訪問して、2009年までに作業を完了し、費用の約1800億円は国が負担するそうです。ただし、マンションのような集合住宅の場合、テレビ共聴設備がUHFに対応していない場合もあり、同軸ケーブルやブースター等の設備を更新しないと地上波デジタル放送を見られないことがあるので注意が必要です。この場合の対策費用は国は負担してくれず、住人の負担。また、ケーブルテレビを利用している場合にも同様の問題があるようです。もちろん地上波デジタルに対応したテレビへの買い替えは各家庭の負担。さらに、UHF放送は電波の直進性が従来のVHF放送より高いため、高層ビルの陰で新たな難視聴地域を生む可能性も高いようです。この地上波デジタル放送は2006年末までに日本全域をカバーし、現行の地上波アナログ放送は2011年7月24日に完全に停止される予定です。しかし、地上波デジタル放送にはこのように課題が多いことを、正しく理解している国民はまだそれほど多くないと思われます。2000年のNHK放送文化研究所の調査によると、国民全体のテレビ視聴時間は1日3時間程度だそうですが、これは平日でもテレビを長時間見る60代以上の高年層が数字を押し上げた結果。インターネットの普及によってこの時間はさらに短くなりつつあるように思います。これだけブロードバンド化が急速に進展している中で、みんなが高額の負担を強いられてまで地上波をデジタル化する意味は何なのか、あらためて国民全員が考え直す必要があるように思います。