神奈川マンション研究会「改正区分所有法と建替え円滑化法」

神奈川マンション研究会の平成14年度第4回勉強会に出席してきました。今回のテーマは弁護士の河住志保氏による「改正区分所有法と建替え円滑化法」。改正区分所有法については、(1)共用部分の変更、(2)管理者及び管理組合法人の代理権及び当事者適格、(3)規約の適正化、(4)管理組合の法人化の要件、(5)規約・議事録及び集会決議の電子化等、(6)復旧、(7)建替え、(8)過料に関する規定の整備、の各変更点について、具体例や今回の改正で残された問題を交えながらの説明がありました。また、建替え円滑化法については、都市構造改革研究会マンション建替え事業相談室の流れ図を参考に法律の概要を確認した後、昨年12月の改正点や、各種マニュアル、転出者用の住居の確保の問題などについての説明がありました。この中で一番気になったのは、改正区分所有法の共用部分の変更について。今まで私は、特別決議の要件から「多額の費用」という記述が撤廃されたため、仮に管理規約に「多額の費用がかかる場合は特別決議」という条文が残っていたとしても、区分所有法の規定が優先して、普通決議で大規模修繕が可能になると理解していたのですが、どうも弁護士の先生の間では、解釈が分かれているようです。結局のところ、管理規約に「多額の費用がかかる場合は特別決議」という条文が残っている場合、大規模修繕を行う場合には、やはり特別決議を取っておくのが無難とのこと。「え?でも管理規約を変更するには特別決議が必要になるのだから、せっかく大規模修繕を普通決議で可能にした意味がないじゃん!」と河住先生に質問してみましたが、区分所有法に詳しい弁護士の先生の間でも意見が分かれているようで、最終的には裁判所の判断を待たないと解釈が確定しないようです。ちなみに、解釈の分かれている区分所有法改正の附則の第二条は「第一条の規定による改正後の建物の区分所有等に関する法律の規定は、特別の定めがある場合を除いて、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、同条の規定による改正前の建物の区分所有等に関する法律(以下「旧区分所有法」という。)の規定により生じた効力を妨げない。」というもの。確かに但書きの後が何を意味しているのかが微妙ですねぇ。いったん出来た法律は一人歩きをしますから、仕方のないことですが、もともとこの条文を作った方、実はどういう意図で書いたのか、こっそり真相を教えてください(^_^)。