マンションでのコミュニティー形成事例

日経新聞2003/05/22付け夕刊11面の記事「マンション住民 コミュニティーで支えあい」で、高齢化の進展や子育てなどの悩みに直面した住民が、マンション内で互いに助け合うためのコミュニティーを形成している事例が紹介されています。築28年、380戸の大阪府牧方市のマンションは、60歳以上の世帯が半数以上。2000年10月にマンション内にボランティアのグループを設立して、網戸の張替えや切れた電球の交換など、全世帯から依頼を受けて、シニア世代中心のメンバーが駆けつけて手伝うそうです。1件につき300円程度の料金を取るのは、無料だと気兼ねして頼みにくいという声が多かったからとのこと。日頃の活動の成果で、昨年末の大規模修繕もスムーズに合意形成ができたそうです。築33年、380戸の埼玉県草加市のマンションでも、シニア世代の女性約30人がが独り暮らしの高齢者に食事を提供したり、日常の用事を無料で引き受ける活動を行っているそうです。どちらもマンションの高年数化と共に住民も高齢化するという典型的なパターンで、マンション全体がひとつの町内会的な役割を果たしている例と言えるでしょう。このような良好なコミュニティーの形成に成功したマンションでは、何かトラブルが発生しても、きっと自分たちの力でスムーズに解決していけるものと思います。ただし、これらは団地型の大規模マンションでの事例であり、中小規模のマンションでは別の考え方が必要かもしれません。私の持論は、プロフィールでも述べてさせていただいているように、管理組合活動の活性化こそが、マンション内のコミュニティーの形成につながるというもの。地域への依存度の低い都市生活者にとっては、昔ながらの町内会での近所付き合いを基本としたコミュニティーとはちょっと違う、管理組合活動を基本としたマンション独自の新しいコミュニティーの形があっても良いと思っています。