居住者名簿とプライバシー

日経住宅サーチの「マンション管理サテライト」の2003/05/26付記事「第29回 居住者名簿とプライバシー」で、管理組合での居住者名簿の取り扱いについての話がされています。管理組合にとって区分所有者名簿はもちろん必須のものです。しかし、同居の居住者について、どこまでの情報を提出してもらうかについては、意見が分かれるところでしょう。管理組合として居住者に関する情報も把握しておくに越したことはありませんが、プライバシーとの兼ね合いもあり難しいところ。実際、うちのマンションには、新築時の入居の際に全員に提出してもらった居住者名簿が管理組合の資料としてそのまま残っているのですが、そもそもそのような居住者名簿を提出していたことなどすっかり忘れている方がほとんど。みなさんマンションを購入する際の必要資料のひとつと考えて、何に利用されるかも深く考えずに管理会社に求められるまま提出していた訳です。これはいけませんね。個人情報を安易に提出する側の問題もありますが、居住者名簿の使用目的や保管方法等を十分に告知しないで情報を集めることに問題があると思います。入居後5年が経過したので、その後変更された情報を更新してもらうために、昨年の理事会で当時は理事だった私から居住者名簿の再提出の提案をしたのですが、具体的に何をどのような形で再調査するかについては、主にプライバシー保護の観点から長時間の議論をおこない、実施には1年近くもかかってしまいました。私も含めてプライバシー尊重派が多かったこともあり、結局、(1)提出は任意であること、(2)提出してもらった情報は管理会社で厳重に施錠管理すること、(3)緊急時の連絡の目的以外には使用しないこと、の3点を基本ルールとしました。そして、それらを居住者のみなさんに十分理解していただいた上で、単に緊急連絡先のみをアンケート調査の形で提出していただく形にしました。プライバシーを尊重する半面、緊急連絡先の提出にだけはこだわったのは、昨年、留守宅で突然ガス警報器の警報が鳴り出し、どうにも対処ができずに困ったという事件があったため。実は入居時に提出していただいた居住者名簿には、勤務先を書く欄はあるものの、肝心の緊急連絡先を書く欄が欠けていたのです。最近は携帯電話をお持ちの方がほとんどですので、緊急連絡先として携帯電話の番号も任意で書いていただくようにしました。この調査は今年1月に行い、9割近くの方から回答をいただくことができました。今のところ、この緊急連絡先を使用したことはありません。むしろ、このまま使用しない状態がずっと続くことを祈っています(^_^)。