管理組合運営とリスクマネジメント

私の住むマンションで臨時総会が行われました。議案は2003/05/20の「今日の話題」で紹介した、テレビ共聴設備のブースターの広帯域化工事と、CATV会社との原始契約の変更。60名の組合員に対して、出席者は11名。議決権行使書が8名と委任状が27名。議案の内容からすれば、まあこんなものでしょうか。CATV会社に一通りの説明をしてもらい、広域化工事についてはすんなり可決。原始契約の変更についてもすんなり可決と行くかと思いきや、議長が挙手を求めている中で、ひとりの組合員の方から、「新しい契約書の具体的な記述については、まだ審議がされていない」との発言。それをきっかけにいったん賛成の挙手をした他の組合員の方からも「元の契約書の取り扱いについての記述がないとおかしい」との意見。CATV会社も満足のいく回答ができずに、持ち帰って再度検討することになってしまいました。一時は今日の決議は見送って継続審議という雰囲気になりましたが、当の質問者から「また臨時総会を開くのも大変だから、いったんこの場で決議して、あとで理事会で修正を検討してはどうか」との助け舟が出されました。他の組合員の方からも、「今日決議しないと、せっかく利用料が無料になる話が先送りになってしまう」という声。すかさず私も「みなさん内容的には問題はないとお考えのようですから、あとは契約書の文面だけの問題でしょう。とりあえずこの場で決議して、秋の定期総会で再度契約書の修正を議案にしていただく形ではいかがでしょうか」と、みなさんの同意を求めて、その旨を議事録に残すことで無事決議されました。私も、あまり細かいことは言うつもりはなかったのですが、どうせ文面を直すならということで、「保安器以降、宅内のテレビ端子までを甲(管理組合)の所有とする」などの記述も見直すように要求しておきました。どう見てもオーナーがひとりである賃貸マンションを想定した契約書にしか見えなかったのです。まあ、今回はとにかく時間的に余裕がなくて、総会議案書の作成の前に契約書の中身を理事会でチェックすることができなかったので、仕方ありません。これだけ変化の早い世の中では、たとえ完全な形ではない状態でも、ある程度リスクを取りながら迅速に事を進めていくことが要求されます。管理組合活動もその例外ではありません。適正なリスクマネジメントを行いながら、臨機応変に柔軟な対応を取れるかどうか、そこに管理組合運営の真価が問われるような気がします。