管理規約改正の実例報告

神奈川マンション研究会の平成14年度第5回勉強会に出席してきました。今回のテーマは「管理規約改正の実例報告等」。3人の会員が、自分の住むマンションでの管理規約改正の実例を報告しました。1人目は築後約30年、20棟、600世帯余の団地管理組合で、管理組合運営の実務に当たる「本部役員」の選出方法が不明確だった事例。自治会役員と管理組合役員が兼務であることもあり、住人の管理組合に対する意識が薄かったことから、2年前に「規約検討委員会」を設置して約1年間かけて規約を改正したというもの。2人目は床スラブ下の排水管を共用部分とした最高裁判例に基づいて、給排水管等についてはすべて共用部分として規約に定めることの提案。専有部分と共用部分の定義のあいまいさを避ける意味は大きいのですが、床スラブ上の配管で管理が可能なものまでを共用部分に含めるべきか、仮にすべて共用部分だとリフォーム時に室内の配管の変更がしにくいなど、検討すべきことは多そうでした。3人目は築15年、16棟、300世帯弱のマンションで、修繕積立金の取り崩しを標準管理規約に基づいて総会決議事項にした事例。従前の規約では修繕積立金の取り崩しが理事会決議事項だったため、住宅金融公庫の「優良中古マンション」の指定を受けられずにいたそうですが、この規約変更により指定を受けることができたそうです。私の知るマンションでも、修繕積立金の取り崩しを理事長の単独の決裁で可能にしているケースがあるなど、どこのマンションでも原始規約には不備な点が多いのが常のようです。標準管理規約との違いをチェックするだけでも、意外と改善点が見つかるものですので、不備な規約をそのままにしておいて後々トラブルが生じないように、規約の見直しをお勧めします。また、規約は作りっぱなしでもいけません。役員にでもならない限り、一般の住人のみなさんはなかなか管理規約に目を通す機会がないものです。定期的に見直して総会議案に上げることで、住人のみなさんの規約に対する理解度を深めていくことも必要でしょう。