マンションへの「愛情」

asahi.com : MYTOWN : 東京の「企画特集」の「最新 マンション考現学」の2003/06/06付記事「給水設備 松本恭治氏」で、高崎健康福祉大教授の松本恭治氏が、せっかく相談に来た分譲マンション居住者が、結局そのマンションを見捨てて逃げ出してしまったという悲しい事例を紹介しています。受水槽点検用のマンホールを作り忘れたため年々赤水がひどくなるマンションと、寝室の天井からコンクリート塊が突然落下してきたマンション。いずれも建物や設備の瑕疵と思われるケースですが、面倒なことを避けたい居住者は販売会社と争うことよりも、そのマンションからこっそり逃げ出すことを選んでしまったようです。建物や設備の共用部分の管理は管理組合が行っていますので、そこで発見された瑕疵についても、基本的に管理組合が区分所有者を代表して販売会社との交渉に当たるのが通常でしょう。しかし、管理組合がほとんど機能せず、管理会社まかせの場合、建物に何かトラブルが生じても、せいぜい管理員に訴える程度。日頃居住者間でコミュニケーションもないため、理事会が主体的に問題解決に乗り出すこともなく、なかなか解決されずに放置されたり、明らかに瑕疵担保責任を問えるケースでも逆に修繕費を取られたりと、居住者にとっては不利益なことばかりになります。自分の住むマンションの問題に気づき、自らリーダーシップを発揮して問題解決に当たってこられた諸先輩方も多い一方で、一歩進め方を間違えると他の居住者から理解されずに孤立してしまったり、面倒なことは避けたいと逃げ出してしまう人もいるようです。マンション管理適正化法第4条には「区分所有者の努力義務」が規定されていますが、それだけでは不十分。自ら適正な管理を目指して努力するか、それとも「逃げるが勝ち」と考えるかは、自分の「家」としてそのマンションにどれだけ愛着を持っているかによるところが大きいのです。愛着を感じているから努力する。努力することによってますます愛着が強くなる。マンション管理を「義務」として捉えるのではなく、マンションへの「愛情」を感じる。そんなマンション管理が理想なんだと思います(^_^)。