騒音トラブルへの対応策

asahi.com : 住まいの「ここが知りたい!」の2003/08/22付記事で、騒音問題が気になるマンション購入予定者の相談が載せられています。日本建築学会が定めた床衝撃音遮音性能(L値=小さいほど良い)によると、上下階の遮音性能は、床にスプーンを落としたときに出るような軽量衝撃音でL-45(いすや履物を引きずる音が聞こえることがある程度)、足音や扉の開閉の時に出るような重量衝撃音でL-50(足音は聞こえるがあまり気にならない程度)が好ましいとされており、L-55が通常生活できる音(使用者からの苦情や遮音性能上の支障が生ずることがあるがほぼ満足しうる)とされています。上の記事によると、実際に裁判例でもL-55が受任限度内と判断されているようですが、実際には結構気になるレベルのようです。L-60になると騒音と認定され、民法709条にもとづく不法行為として損害賠償金の支払いを命じた判例があるそうです。また、隣接住戸との壁を通した空気音遮音性能(D値=大きいほど良い)は、D-50(ピアノなどの音が小さく聞こえる程度)が好ましいとされています。ただし、一般にマンションの広告パンフレットに載せられているL値は、軽量衝撃音のL値だけで、重量衝撃音のL値は表示されていないことに注意が必要でしょう。実際の生活の中で気になる騒音は、むしろ重量衝撃音であるからです。目安としては、床のスラブ厚が20cm以上で重量衝撃音L-50程度、戸境壁のコンクリート厚が18cmでD-50程度の性能があるそうですので、パンフレットや設計書類などで確認するのが良いでしょう。ただし、どんなに遮音性能が良くても、マンションの中では音は必ず聞こえるもの。騒音トラブルは、自分が被害者になっても加害者になっても辛いものです。結局のところ、集合住宅の中で全員が快適に暮らしていくには、住人ひとりひとりが騒音問題に対する理解を深めると同時に、日頃から住人同士が交流を持ち、良好なコミュニティーを形成することが一番有効な対策なのです。