エレベーターの交換・新設工事に成功したマンション

asahi.com : MYTOWN : 東京の「企画特集」の「最新 マンション考現学」の2003/08/22付記事「エレベーター設置 三木哲氏」で、(有)共同設計・五月社一級建築士事務所代表の三木哲氏が、築25年の2回目の大規模修繕でエレベーターの取りかえ・設置工事に成功したマンションを紹介しています。8階建てと4階建ての2棟で、8階建ては約1,000万円でエレベーターの取替え、もともとエレベーターのない4階建ては約1,500万円で鉄骨の階段をいったん壊して、エレベーター付きの階段を増築したそうです。当初、1階の住民の一部が反対したものの、最終的には合意が得られたとのこと。管理組合役員や修繕委員の方が合意形成に尽力された結果だと思います。古い団地など、エレベーターのない分譲マンションでエレベーターを新設する際には、多くの場合、1階の住人の理解をどう得るかが難しい課題となります。Yomiuri-Online / @Moneyの「マネー教室」の「特集」の「Yomiuri Weekly」の「マンション長寿革命(下)」の「「手入れして長く住む」発想の芽生え3代が暮らせる100年定借、変わる住民の修繕意識」にも、同じく2回目の大規模修繕の際にエレベーターの新設に成功した「ファミール西八王子1号棟」(築29年・4階建て・20戸)が紹介されています。このマンションでの合意形成のきっかけは、1号棟の2階に車いすを利用する人がいたことだったそうです。毎日、家族が背負って階段を上り下りする姿に、いずれ自分も高齢者の仲間入りをする他の居住者も身につまされて、1階住人も「建物総体の価値が高まるなら」と納得したとのこと。ちなみにこのマンションの大規模修繕の総額は9900万円で、そのうち修繕積立金の手持ち資金は3600万円。不足分の6300万円は、5年返済で住宅金融公庫からの借入金を充てたそうですから、修繕積立金は月額で数万円もの増額になったと思われますが、新設されたエレベーターに住人のみなさんは満足されているようです。多くのマンションでは、建物の老朽化とともに、住人も高齢化していきます。大規模修繕の際には、バリアフリー化など、快適な住環境を得るための改修工事も追加で必要になることを考慮し、長期修繕計画では多少の余裕を持った資金計画を立てておくことがポイントだと思います。