暴力団への譲渡や賃貸を禁止する管理規約

asahi.com : マネーの「お金の悩み・彼女の場合」の2003/08/09付記事「隣は何をする人ぞっ」で、分譲マンションを購入したら、階下の一室に、暴力団の幹部クラスが家族と暮らしていることが分かり、契約を解除したいという相談が載せられています。特に事件が起きたわけではないそうですが、時おり物騒な大声が聞こえ、住人を脅すようなしぐさをするので、問題になりかけているとのこと。このケースでは、事件などが実際に起きて家に住めなくなっているわけではないので、判例などからみると契約解除までは難しいようですが、暴力団員がいることで、マンションの価値が下がっているので、損害賠償を求めることはできると上の記事ではアドバイスしています。1992年3月に施行された「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(暴対法)による規制が強まってからは、暴力団であることを隠して、分譲マンションの一室に組事務所などが設置されるケースが増えてきているようです。このように暴力団構成員や組事務所がマンションに入居していると、たとえ現在は問題が起きていなくても、後日抗争事件などに巻き込まれて大きなトラブルとなる危険性があります。管理組合としては、警察の協力を得て事実関係を調査した上で、区分所有法第57条による行為の停止等の請求、第58条による使用禁止の請求、第59条による競売の請求、第60条による占有者に対する引渡し請求などの法的措置を取ることができますが、このような請求が認められるのは暴力団構成員や組事務所の存在によって現に共同の利益に反する行為が行われていたり、その恐れがある場合に限られるため、現実にはこのような法的措置を取ることが難しいケースも多いようです。このため、予防措置としては、管理規約によって暴力団構成員や組事務所への譲渡や賃貸を禁止する規定をしっかりと定めておくのがよいでしょう。具体的な規約の条文例は京滋マンション管理対策協議会(管対協)のホームページの「役立つ情報」の「管対協標準管理規約」にありますので、参考にしてください。このような管理規約があるマンションは、暴力団も敬遠するそうですよ。