修繕積立金が不足したら

日経住宅サーチの「マンション管理サテライト」の2003/09/01付記事「第36回 修繕積立金が不足したら」で、修繕積立金の適正額と積立金が不足したときの対策が紹介されています。最近の新築マンションの積立額は、住宅金融公庫のリ・ユースマンション基準(優良中古マンション基準)が目安となっているようで、マンション管理新聞社の調べによると、2002年1?6月に販売された首都圏新規分譲マンションの平均積立金は月額戸当たり6,950円なのだそうです。実際、新築マンションのパンフレットを見ても、規模や共用設備の仕様によらず横並びで同じような金額になっていることがほとんどですが、本来は長期修繕計画による資金計画に基づいて積立額が決定されるべきものであり、早期に見直しを行うべきでしょう。特に多くのマンションでは築年数に応じて積立額を段階的に増額していく資金計画になっていることが多く、終身雇用と年功序列制度の崩壊により、右肩上がりの収入増が見込めなくなった現在、住宅金融公庫の「ゆとり返済」が破綻をきたしたのと同様に、当初の負担を軽くして将来の負担を重くする資金計画は破綻するリスクもあります。販売業者は少なくとも第1回目の大規模修繕までは定額の積立でカバーできるような金額に設定すべきように思いますし、もし段階的な増額が必要な場合には、それを販売時の重要事項説明に盛り込むべきだと思っています。あと、最近のマンションによく見られる購入時に修繕積立基金として一時金を納める方法ですが、あれも要注意。確かに毎月の積立額を下げる効果はあっても、それは第1回目の大規模修繕まで。2回目以降のハードルはその分だけ高くなることを考慮する必要があります。そして、もし積立金が不足することが分かった場合の対策ですが、とにかくその状況をみなさんにお知らせして、アンケート調査などで意見を聞きながら、合意形成を図っていくしかないでしょう。早めに手を打つのか、問題を先送りして一時金や借り入れで賄うのか、それはマンションそれぞれの考え方によりますが、少なくとも大規模修繕の見積書を見て初めて資金不足に気づくような事態だけは避けたいものです。