全管連と区分所有士会の管理委託契約書の比較

平沼記念レストハウス(横浜文化体育館)で18:00から行われた神奈川マンション研究会の平成14年度第1回研究会に参加してきました。今回はマンション管理委託契約書について、区分所有士会作成のものと、全国マンション管理組合連合会(全管連)作成のものの2種類について、ディベート形式でそれぞれを支持する立場から討論が行われました。区分所有士会のものは住宅宅地審議会作成の「標準管理委託契約書」をベースにマンション管理適正化法との整合性を持たせた内容ですが、定額管理委託費に対する損害遅延金や、解約時の損害賠償金を明記したり、未収金の督促後も助言等だけになるなど、管理会社の立場での記述が目立ちます。一方、全管連作成のものは定額管理費の支払いを明確に後払いとして、マンション内に良好な住環境を維持する業務への協力も条文化。具体的な預金通帳等の保管方法や未収金の処理方法も明記した上で、さらに2年以上経過した未収金は1/2を管理会社が買い取るという条文まであり、管理組合の立場での要求を明記したものになっています。全管連のものは抽象的な記述も多く、そのままでは管理会社は引き受けにくい内容であることは確かですが、プロの管理会社とアマチュアの管理組合とのハンディキャップを考えれば最初はこれくらい高い希望を挙げておいたほうが良いのかもしれません。実際の契約が区分所有士会のものに近い内容になったとしても、そこに至る話し合いの中で管理組合役員さんにとってもいろいろと勉強になることが多いと思われます。区分所有士会のものだと、一通りの説明を受けただけで終わってしまいますからね。マンション管理適正化法の精神からすれば、そもそも管理委託契約は管理会社から与えられるものではなくて、管理組合が主体性を持って対等の立場で結ぶべきもの。標準管理委託契約書の改定案の作成も来年の4月をメドに進んでいるようですが、コメント部分をより充実させるなどして、管理組合や区分所有者が主体性を持って契約内容の是非の判断ができるような工夫をしていただきたいと思います。