買い取り価格は更地額が基準

asahi.com : 生活の「住む」NEWSの2002/10/30付記事「買い取り価格は更地額を基準に」で、マンションの建て替えを円滑に進めるための基本方針案が国土交通省でまとまったことが紹介されています。それによると、建て替えに参加しない人から区分所有権を買い取る価格は、更地の価格から旧マンションの除去費用を差し引いた額を基準にすることが望ましいと明記されたそうです。この基準をもとに何階か、角部屋かなども加味して価格を決めるのだそうで、1999/06/21の神戸地裁で出された判決に沿った内容とのこと。この訴訟は阪神大震災で損壊した神戸市灘区のマンション「グランドパレス高羽」(178戸)の建て替え決議に関するもので、決議に反対した住民11人が「法律上の建て替えの要件を満たしていない」などとして決議の無効確認を求めましたが、神戸地裁は原告の請求を全面的に退け、原告らの所有する住宅・店舗を建て替え賛成派の住民に約800万?1800万円で売却するように命じたものです。このときの買い取り価格を算定するに当たって、更地の価格から旧マンションの除去費用を差し引いた額が基準になったようです。なお、この裁判は一、二審とも原告が敗訴し、現在最高裁で係争中。建て替え賛成派の中には再建を待てず新しい住まいを購入した人もいるそうです。マンション建て替え円滑化法の施行や区分所有法の改正により、法的な面での整備は着々と進んでいるように見えますが、依然として建て替えの合意形成が極めて困難である状況に変わりはありません。結局のところ、マンションも建物の寿命が尽きれば更地の価格しか残らないのだということを念頭に置き、しっかりと維持管理を行っていくことが大事だということになりそうです。