「マンションをどーする!公開討論会」に参加

日本教育会館(一ツ橋ホール)で行われた「マンションをどーする!公開討論会」に行ってきました。出席政党は民主党(衆議院議員・阿久津幸彦氏)、公明党(衆議院議員・上田勇氏、途中で川口市議会議員・伊藤信夫氏に交代)、共産党(衆議院議員・大森猛氏)の3党のみでしたが、会場は100人を越える参加者でほぼ満員となりました。民主党の阿久津氏は今回の区分所有法の改正は「始めに建替えありきではない」とし、景気浮揚策としての法案であってはならないことを強調しながら、マンションの長寿命化・再生を付帯決議に盛り込めたことが成果であるとしました。ただし団地一括建替えの場合の各棟で3分の2以上の賛成の要件は「あまりにも軽すぎる」とし、参議院での修正を含めて今後詰める必要があるとしました。さらに建替えから長寿命化へ方向転換するために「マンション『再生』円滑化法案」を作るべきとし、議員立法を提出予定であることを表明しました。公明党の上田氏と伊藤氏はマンションの建替えや再生のモデル事業を国や地方自治体が率先してやるべきとし、ヨーロッパではそもそも建替えの概念がなく、リフォームでやっていることを引き合いに、できるだけ長く使っていくことが重要であるとしました。共産党の大森氏は今回の改正法案は「拙速かつ(一部の圧力によって)大きくゆがめられたもの」であると批判しながらも、付帯決議には賛成の立場であり、建替え参加が困難な人への支援策を充実させること、合意形成を支援するために、専門家による第三者機関を設けること、長寿命化を焦点に「マンション定期診断制度」の創設等を訴えました。
愛知産業大教授の藤木良明氏はマンションの建替えの必要性はそれほど逼迫していない現状を訴え、「改正案と付帯決議の間には大きな断絶がある」とし、1997年の京都会議以降、環境保護を重視するパラダイムの組み換えが起きており、むしろ建物の長寿命化を図るべきであると意見しました。全管連会長の穐山精吾氏は共用部分の変更や、規約適正化、原告適格、団地建替えについて全管連の意見が取り入れられたことを評価しながらも、単純に5分の4以上となった建替え要件や各棟3分の2以上の団地の一括建替え要件には問題があるとし、早期の見直しをすべきであると主張しました。集住センター常務理事の有馬百江氏も原告適格や規約の適正化が盛り込まれた点を評価しながらも、まだ完全ではないとし、「小さな声でも発信していけば大きな成果が現れる」とし、より良い政策に結び付けていくためにマンション住人の声を各政党に聞いてもらうことの重要性を訴えました。コーディネーターを努めた全管連事務局長の谷垣千秋氏はマンション住人が望む方向で改正されるように改正されるように活動していきたいとし、ぜひ付帯決議を具体化してほしいと各党に要望しました。バブルの崩壊と環境保護の観点から、マンションは建替えから長寿命化へ時代の流れが大きく転換していることは間違いなさそうです。今回の付帯決議はその方向性を明確に示したものであり、ぜひ具体的な政策に結びつくように私たちも働きかけていく必要があるように思いました。