東京マンション管理士会第1回セミナー「マンション管理費はここまで節約できる」

東京マンション管理士会が文京シビックホールで開催した「第1回マンションセミナー」に参加してきました。管理組合としては関心の高い「マンション管理費はここまで節約できる」をテーマに福剛氏が講演を行い、土曜日の夜の18:30?20:00という時間帯ながら、会場は管理組合の役員さんを中心に約70名の参加者で一杯になりました。福崎氏は1999年に著書「マンション管理費はここまで節約できる」でマンション管理費のあり方について一石を投じられましたが、今年9月に文庫本の形で出された改訂版では、この3年間に取材された内容で3分の1程度を書き換えられたとのこと。講演では「管理費は平米単価で比較すれば良いのではなく、どれだけの人間がどれだけの時間動いたかを考えるべき」とか、「管理組合では一所懸命動いた人も考えていない人も一票で、同じ一票でも重みに違いがある」等の持論を展開しながら、機械式駐車場、管理員給与、エレベータ点検等について具体的な金額を交えたコスト削減例の紹介があり、大変参考になりました。ただし、管理費の節約を請け負うコンサルに依頼する方法があることも触れられましたが、これはせっかく「コスト削減」という身近なテーマで管理組合活動を活性化させる良いチャンスなのに、ちょっともったいないような気がしました。12/07(土)の「今日の話題」で、管理組合がマンションの問題の山を乗り越えていくために、私はシェルパになりたいというお話をしましたが、コンサルに依頼することを例えて言えば、山道を汗をかきながら登らずに、お金を出してヘリコプターをチャーターして一気に山頂まで到達するような感じでしょうか。それではいつまで経っても自分たちの力で山を登れるようにはなれません。管理組合の問題は何も管理コストだけではなく、騒音やペット、管理費の滞納、大規模修繕等、たくさんの問題があるのです。それらを解決するには、管理組合活動を活性化してマンション内に良好なコミュニティーを形成することが結局は一番の近道なのですが、コンサルに依頼する方法だとコスト削減はできても、その他の問題は何も解決できないような気がしました。食糧難に悩む開発途上国を支援するのには、単に食糧を送るのではなく、自分たちで農作物が作れるように農業技術を教えるのが本質的な解決策であるように、マンションでも単にコスト削減という一面だけを捉えるのではなく、それをひとつの契機として管理組合活動を活性化し、マンション内に良好なコミュニティーを確立することが一番大事なことなのです。マンションの住人のみなさんにはぜひそのことに早く気がついていただきたいですし、それを支援することがマンション管理士の社会的使命だと思っています。