管理会社が倒産すると、支払った管理費は無駄になりますか?

Question
マンションを住居用として購入することを考えております。そのマンションの管理形態が「管理組合方式により管理会社との間で管理委託契約を締結して頂きます。」とあり、管理会社が指定されているのですが、その管理会社は、経営不振に陥っているある建設会社の関連会社です。

もし、この管理会社に経営的な問題が発生した場合、支払っていた管理費が差し押さえられる、と言うようなことを聞いた記憶があります。今回のような契約形態の場合、支払った管理費が無駄になってしまう可能性はあるのでしょうか?

お忙しい所恐れ入りますが、助言頂けると幸いです。

Answer
マンション管理会社の倒産は現実に発生していますので、私たちマンション住人にとって決して無関心ではいられない問題となっています。

まず、管理費・修繕積立金は管理会社に支払うものではなく、自分たちの財産として管理組合に納めているものであるということをご理解ください。そのことをご理解いただいた上で、管理組合の預金口座が管理組合理事長名義になっていることをご確認ください。管理会社名義になっているようなケースですと、管理会社が倒産した場合に、その預金口座の財産の帰属が問題になることがあります。

次に管理費・修繕積立金の出納方法を確認してください。これには一般に次の3つの方法があります。どの方式を採用しているかを調べてみてください。

(1) 原則方式
各組合員が理事長名義の管理組合預金口座に直接振込む方法。ただしその口座の通帳と印鑑の両方か、またはどちらか一方を管理組合が保管している必要があります。

(2) 収納代行精算方式
各組合員がいったん管理会社名義の預金口座に振込み、1ヶ月分の管理業務に関する精算をした後、残りの金額を理事長名義の管理組合預金口座に振替える方法。これも少なくとも管理組合口座の通帳と印鑑の一方を管理組合が保管している必要があります。

(3) 支払一任代行方式
(1)と同じく各組合員が理事長名義の管理組合預金口座に直接振込む方法ですが、通帳と印鑑の両方を管理会社に預けて、管理業務に関する支払いを管理会社に一任するものです。ただし、毎月修繕積立金に相当する金額を理事長名義の管理組合預金口座に振替える必要があります。

(1)の方法が一番安全な方法ですが、管理会社によっては(2)または(3)の方法を取るケースもあります。ただし、(2)と(3)のケースですと、管理会社が倒産した場合に最大1ヵ月分の管理費・修繕積立金が失われるリスクがありますので、管理会社は特定法人(高層住宅管理業協会)と保証契約を締結することが法的に義務付けられています。この制度により、管理会社が倒産した場合には最大1ヵ月分の管理費等が管理組合に支払われます。実際に管理会社が保証契約を締結していることを確認しておくことをお勧めします。

なお、管理組合が管理会社と締結する管理委託契約は、マンションの売買契約とはまったく別のものです。どの管理会社に管理を委託するかは管理組合が決めればいいことで、マンションの売買契約で義務付けられているものではありませんので、誤解のないように。