マンション管理士が食える日はやってくるか?

2005/06/18(土)の夜に行われた、神奈川県マンション管理士会の第2回講演会での重松秀士さんの講演内容です。約2年半前、マンション管理士試験の合格発表日に会社を辞め、それまでの安定したサラリーマン生活をあっさりと捨てて独立開業という「無謀な第一歩」を踏み出した重松さんは、現在は顧問契約先を7件抱えて活躍中。複雑な設備や超高層マンションなど、昔とは状況が変わっており、これからは専門家を活用する時代と訴えます。営業活動はホームページが中心で、近隣のマンションへのチラシ配布も行ったが、「1件もヒットなし」とのこと。また、セミナーの講師や無料相談会などボランティア活動も精力的にこなされていますが、それらは市場リサーチ、スキルアップ、マンション管理士制度の普及のためと割り切っており、「後で契約の話が来ることは期待していない」そうです。さらに、お客様からのファースト・コンタクトから顧問契約に至った事例をいくつか紹介しながら、メールや電話での相談でも100%の答えを出し切ることが大事であり、「ここまでは無料、ここからは有料という区別はしない。とにかく一所懸命やってくれるという印象を持ってもらうように心掛けている」とのこと。失敗談もいくつか披露しながら、「自分が理事会を仕切ってしまったり、自分の意見や考えを言い過ぎては嫌われる。とにかく丁寧に対応すること。」と説きました。マンション管理士に向かない人のタイプとしては、人の話を聞かない人、原理原則にこだわる人、やたら説教しるぎる人、洞察力がない人、すぐに落ち込む人を挙げ、管理会社のフロントマンとも共通するところがあるとしました。マンション管理士に求められる資質は、法律・技術・財務あるいは座学・実務・営業の「バランス感覚」であるとし、専門に特化することなく、浅く広い知識を持ってマンションのホームドクター的存在を目指すべきとしました。マンション管理士の意義としては、理事が安心して自分の仕事をしながら理事もこなせること、輪番制で理事が変わっても安定した管理組合運営ができることにあり、将来マンション管理士が「食える」環境になると、現在は管理会社に勤務中の「隠れ管理士」がどっと現れるとし、競争相手のいない今こそ事業に踏み出すべきと訴えました。これからは管理会社と役割分担を進めながら、両者が棲み分けていくことが大事であり、「いずれはヨーロッパ型管理者として受託したり、米国型ジェネラル・マネージャーとして受託する会社を設立するのが夢」と語られました。最後に、マスコミや社会の関心が高まっていることと、今の管理会社の体制では管理組合に対して満足のいくサポートができないことから、「マンション管理士が食っていける日がすぐそこまで来ている」と結んで約2時間に及んだ講演が終わりました。