管理費と修繕積立金について

管理費・修繕積立金・専用使用料等(以下「管理費等」と言います)の出納の仕組みやその使われ方について、説明します。
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管理費と修繕積立金の違い

管理費も修繕積立金も、マンションの共用部分の維持管理を目的とした管理組合業務のために使用されます。どちらも総会決議による予算書に基づいて支出が行われ、最終的に総会でみなさんの承認をいただいて決算されます。ただし、修繕積立金は将来必要となるマンションの修繕の目的で積立てるものですので、安易な流用を避けるために、管理規約により、その使用目的に関して下記の制限を設けています。
(1) 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
(2) 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
(3) 敷地および共用部分等の変更または処分
(4) その他、敷地および共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理さらに、上の業務の実施や、修繕積立金の取崩しについ
ては、管理規約第46条第5号によって総会の決議を経ることが義務付けられており、修繕積立金は総会の決議なしには支出が行えないように保護されています。

出納方法

管理規約により管理費等は、みなさんの引き落とし口座に当月分を前月末までに入金しておくことが義務付けられています。ただし、実際の引き落としはすぐには行われず、当月の27日(銀行休業日の場合は翌営業日)に収納代行業者(D社)によって引落しがされます。この管理費等がまとめて理事長名義の当管理組合の口座に入金されるのは引落し日の6営業日後(翌月の5日頃)となります。
一方、管理会社に毎月支払う定額管理費は管理委託契約第6条第2項により、毎月10日までにその当月分を支払うことになっています。実際には毎月12日(銀行休業日の場合は翌営業日)に管理会社が当管理組合の口座から引落しを行っています。これらをまとめると当月分の管理費等の動きは次の通りになります。

引落し日 出金元 入金先 摘 要
当月12日 管理組合
口座
管理会社 定額管理委託料
(約xx万円)
当月27日 各組合員
口座
収納代行
業者
管理費等
(計約xxx万円)
翌月5日頃 収納代行
業者
管理組合
口座
管理費等
(約xxx万円)

このように、みなさんに納めていただいた当月分の管理費等が管理組合口座に入金されるのは翌月になりますので、年度末の8月分の管理費等だけは毎年の決算に間に合わず、未収金扱いとなります。これを滞納による未収金と区別するために、滞納によるものを「未収金」、8月分の管理費等を「未収入金」として決算書に計上しています。

保証制度

ここで問題になるのが、管理組合の資産である管理費等を預かった状態で管理会社や収納代行業者が倒産した場合です。当管理組合の出納方法の場合、次の2つのリスクを抱えていることになります。
1) 当月27日以降、翌月5日頃までの間、収納代行業者が管理費等の1ヶ月分(約xxx万円)を預かっている状態で倒産すると、その全額または一部が返還されない
危険性があること。
2) 当月12日以降、月末までに管理会社が倒産し、その後の管理業務が停止した場合、当月の定額管理料(約xx万円)の残りの日数分が返還されない危険性が
あること。
このため、マンション管理適正化法は、管理業者に対して、国土交通省の指定団体である(財)高層住宅管理業協会との間に保証契約を締結することを義務付けています。
これは万一管理会社が倒産しても、最大1ヶ月分の管理費等が保証される制度です。当マンションの管理会社もこの保証契約を締結しています。
ただし、私たちのケースで収納代行業者が倒産した場合は、管理会社の倒産ではないため、当保証契約の適用にはなりません。しかし、収納代行業者は管理会社の下請けで出納業務を行っていることから、法的には当然管理会社が損害賠償責任を負うとされています。

管理組合が注意すべきこと

昨年9月以降、相次いで管理会社の倒産があり、この保
証制度が実際に適用され始めています。しかし、いくら保証制度で管理費等の最大1ヶ月分が返還されるとしても、その申請のために必要な資料を探すのに時間がかかったり、管理員が不在になったり、各種保守点検業務が停止したりするなど、管理会社が倒産したマンションの役員や住人の方は大変な苦労をされています。
信頼できる管理会社を選ぶことが大事であると同時に、万一管理会社が倒産しても困らないように、いざという時にはいつでも管理組合が主体的に動ける体制を整えておく必要もありそうです。