共用部分の管理責任と費用負担

共用部分には2種類あります

マンションは専有部分と共用部分に分かれますが、その共用部分には2種類があり、管理責任と費用負担も異なっています。ひとつはエントランスや共用廊下、エレベーター、駐車場など、住人全員が使うもので、管理組合が管理を行います。もうひとつは、各住戸に付随したポーチ、ベランダ、専用庭、玄関ドア、窓ガラス、窓枠などで、そこに住む人だけが使う権利(専用使用権)を持ちますが、個人が勝手に変更できないという意味で共用部分とされているものです。後者については、通常の管理は区分所有者が行い、大規模修繕等の特別の管理は管理組合が行います。
—UnderThisSeparatorIsLatterHalf—
通常の管理 特別な管理
(大規模修繕等)
専有部分 区分所有者 区分所有者
共用部分
(専用使用権あり)
区分所有者 管理組合
共用部分 管理組合 管理組合

窓ガラスが割れたときの修理代は誰が払うの?

専用使用権のある共用部分の通常の使用に伴う管理はその住戸の責任で行うことになっていますので、例えば窓ガラスが割れたときには、その住戸の区分所有者の負担で修理しなければなりません。ただし、当マンションではガラス保険の特約を付けていますので、偶発的な事故で壊れた場合には共用部分の保険によってカバーされます。専用庭の植栽剪定も本来は区分所有者の負担ですが、当マンションでは総会決議により管理組合負担としています。

熱感知器が壊れたときの修理代は?

各住戸にある熱感知器やガス漏れ警報器、インターホン、給湯器等の設備は専有部分になりますので、故障したときの修理代は基本的に区分所有者の負担になります。ただし、熱感知器とガス漏れ警報器はマンション全体の非常通報設備の一部となっているものですので、共用部分の管理と一体となっているという理解で、当マンションでは総会決議により管理組合負担としています。

水漏れ事故の損害賠償責任は?

建物が老朽化してくると、給排水管の水漏れによって下階の住戸の天井や壁紙などに多額の損害を与える事故が発生することがあります。この場合の損害賠償責任は、基本的にその給排水管が専有部分にあるか、共用部分にあるかで、区分所有者の負担か管理組合の負担かに分かれます。また、原因となった箇所がはっきりしない場合は管理組合負担となります。ただし、床スラブ下の排水管の水漏れ事故で、排水管自体は専有部分内にありながら、共用部分にあたるとされた最高裁判例(平成12.3.21)もあり、実際に事故が起きたときに、どちらの費用負担になるかの判断は難しい場合があります。そのため例えば電気、ガス、給水については各戸のメーターより先を専有部分とし、排水管については床スラブ下を共用部分にするという具体的な規定にしている管理組合もあります。トラブル防止のためには、実際の事故が起きる前に管理規約の整備を進めておくべきでしょう。