ITコーディネータ制度とマンション管理士制度

日経BP「Small Biz」の岡崎宏行氏のコラム「システム業界うちあけ話」の「第30回 このままではITコーディネータ制度が消える!」で、経済産業省の肝入りで設立された国家資格の「ITコーディネータ」が、1年余りが経過した現在、当初の意気込みとは裏腹にトーンダウンしている状況が紹介されています。ITコーディネータは人材の乏しい中小企業のIT活用のために、専門家として助言・指導を行うことを業とする資格ですが、研修に時間とコストがかかる割に、資格を取得しただけではすぐには収入に結びつかず、完全な供給過剰状態。当初の理念に反して死に体同然の資格となった「中小企業診断士」と同様に、このままでは自然消滅するしかないとして、国がなんらかの援助をすることを訴えています。一方、私たちマンション管理士も、資格を取得しただけではすぐには収入に結びつかないという状況は似ていると思いますが、各地で管理士会の設立が相次ぎ、先月末には第2回試験の合格者も多数誕生して、その活動はますます盛り上がってきたように思います。上の2つの資格とどこが違うかを考えてみると、まずマンション管理士は、営利目的の企業ではなくて、マンション管理組合という非営利団体を支援しているということ。そして、自分が住んだり所有しているマンションの管理組合運営に、直接そのスキルを役立てていくことができるということ。さらに、当面は業として行う考えがなくても、自己研鑽を目的に活動したり、ボランティア精神で活動している方が多数存在しているということが挙げられます。そしてマンション管理士の資格ができるずっと以前からマンション管理組合を支援する活動をされてきた諸先生方や、各地の管理組合団体、学会、研究会など、数多くの諸先輩方の存在も大きいと思います。平成13年度末に406万戸に達し、1000万人以上が居住するマンションでは、建物・設備の老朽化や、管理費の滞納、居住者のマナーに至るまで様々な問題が日常的に発生しています。これらの問題に直面して困っている相談者を助けることは、ある意味でマンション管理士の社会的使命。その評価や地位は後からついてくるものだと考えています。私も微力ながら、このホームページや電子メールでの相談業務を中心とした活動で貢献していきたいと思っています。