日本マンション学会「マンション管理実務連続講座」の第3回を受講

東京都文京区のすまい・るホールで行われた日本マンション学会の「マンション管理実務連続講座」の第3回を受講しました。前半は千葉大教授の鎌野邦樹氏による「区分所有法とは、実際の管理の場面で何が重要か」。今回の改正点を交えながら、区分所有法の全般的な解説を行い、法で定められているドイツ・フランス流の管理者方式が、実際には標準管理規約に基づいてアメリカ・イギリス流の理事会方式で運用されている状況を明らかにしました。なお、この標準管理規約は区分所有法の改正に基づいて大幅な内容変更が必要になりますが、まだ検討が始まったばかりだそうで、改正されるには1年くらいかかるそうです。後半はマンション管理センター主任研究員の村井忠夫氏による「管理組合が知っておくべき管理委託契約の仕組み」。管理組合が管理会社を必要とする理由は、(1)区分所有者の関心と理解が不足していること、(2)総会の出席者が少ないため最高意思決定機関としての実態が伴わないこと、(3)総会に代わって管理組合を実際に運営する理事会の対応能力も不足していること、(4)経過年数に比例して建物の劣化や滞納など管理上の問題が複雑化していくこと、(5)賃貸化・事務所化・社宅化・複数所有などにより管理組合の組織力が低下していくことにあり、当事者能力の乏しい管理組合をサポートする役割を管理会社が果たしてきたとの評価を示しました。しかし親会社の受け皿的存在で事業レベルの認知が十分でなかったことや、安易な新規参入が問題が生じたとし、それが標準管理委託契約書の作成や、マンション管理適正化法の制定につながったとしました。ただし、標準管理委託契約書はあくまでもモデルであるため、独自のアレンジをすることが重要であり、管理組合自身の考え方や運営状況が相当大きく契約内容に反映され、それが管理業務内容として跳ね返ってくるとし、これを「ブーメラン効果」として結論付けました。なお、現在パブリックコメントを募集中の標準管理委託契約書の改正案は、3月中に最終的に固める見通しだそうです。また、村井氏はマンション管理士の役割にも触れ、「医者が内科や外科、歯科といった専門分野で分かれているのと同じく、マンション管理士も管理組合運営や、法律、建築、財務という専門分野で分かれるべき」という考えを示しました。私がマンション管理士として専門分野の看板を上げるとすると、「管理組合運営」でしょうか。というか、その他のことは弁護士なり、建築士なり、会計士なりのその道の専門家に相談すれば良いだけのように思いますが・・・。むしろマンション管理士は「町医者」として、マンションに関するどんなトラブルにでも相談に応じることに、その存在意義があると私は考えています。