浜管ネット「マンション建替えセミナー」に出席

かながわ県民センターで行われた横浜マンション管理組合ネットワークの「マンション建替えセミナー」に出席しました。前半は(株)市浦都市開発建築コンサルタンツの佐藤由美氏による「建替えの問題点、事例と専門家の関与のあり方」。建替えを進める際の最大の問題点は、(1)費用負担が困難な区分所有者がいることと、(2)工事期間中の仮住居の確保にあるとし、構想段階や計画段階での専門家の役割を明らかにしました。また、紹介のあった成功事例はいずれも、容積率の余裕から等価交換による無償での建替えが可能であったり、近隣の建替え中断団地の空き住戸を仮住居として利用できたり、社宅としての法人所有の住戸が大半だったりで、条件に恵まれたマンションばかりでした。逆に考えると、大多数のマンションでは建替えはほとんど不可能であるように感じました。後半は国土交通省国土技術政策総合研究所の長谷川洋氏による「円滑化法と建替えマニュアルの解説」。「建替え円滑化法は建替えをスムーズにするための法律であって、建替えを促進する法律ではない」と前置きをした後で、法人格を有するマンション建替組合の設置と運営・意思決定ルールの明確化、権利変換手法を柱とする建替え円滑化法の概要を説明。また、合意形成のためのマニュアルの内容を紹介し、(I)準備段階、(II)検討段階、(III)計画段階の3つのステップで、(A)組織の設置、(B)専門家の導入、(C)検討・意見の調整、(D)当該段階のサイクルを繰り返す合意形成プロセスを説明しました。そして、やがて将来やって来る建替えがスムーズに行えるかどうかは管理の延長上にあるとして、日頃の管理をしっかりとしておくことの重要性を訴えて結びました。会場は管理組合役員やマンション関係業者、マンション管理士など約60名の参加者で満員で、マンション建替えに関する関心の高さを示しました。しかし、マンションの建替えはそもそも費用負担と仮住居の問題をクリアできないことには、合意形成も進みません。建替え円滑化法や合意形成マニュアルによる側面からの支援もさることながら、リバースモーゲージ制度のマンションへの適用など、本質的な部分での対策が必要であるように思いました。