ザ・ノンフィクション「マンション残酷物語」

フジテレビの「ザ・ノンフィクション」の2003/05/11放送は「マンション残酷物語」。建替えや大修繕に苦悩する3つのマンションの住人と管理組合が紹介されました。1つ目は、阪神淡路大震災で全壊の判定を受け、建替え決議をしたものの、「修繕で十分」とする反対派住人から訴訟を起こされ、大部分の人が住めない状態のまま8年が過ぎてしまった神戸市のマンション「グランドパレス高羽」。住めない状態のマンションに住宅ローンを払い続けることに空しさを感じる住人と、裁判が長引き、疲れを隠せない理事会の様子が紹介されました。2つ目は、築28年目で水漏れのひどい排水管の更新工事を予定している四日市市のマンション。今まですべて管理会社任せだったために、修繕積立金の残高不足で、1戸当り100万円の一時金が発生。しかし老後の資金を手放すことに抵抗する72歳の女性と、なんとか説得を試みる理事長の話し合いは平行線のまま。さらに18年間の収支報告がなく、多額の使途不明金について管理会社に返還を求める交渉も平行線。そんな事情は知らずに3年前に購入したという理事長は、修繕積立金が多いマンションと、少ないマンションでは資産価値がまったく違うということを訴えます。今まですべてを人まかせにしてきたことの代償の大きさを示す内容でした。3つ目は、築69年目の飯田橋の「同潤会江戸川アパート」。コンクリートは至る所で鉄筋が露出し、コンクリート塊の落下も続く状態。ガス管の老朽化もひどく、ガス漏れも日常化。30年来の懸案だった建替えが、昨年ようやく決議されましたが、等価交換による住居面積は現在の53%に減少するのだそうです。11?の部屋に住む年金生活の80歳の女性の場合、最も狭い部屋に入居するとしても1,000万円の負担が発生するため、建替えに反対しましたが、そのまま反対を続けると管理組合に売り渡し請求権を行使され、500万円程度の代金と引き換えに住戸を取り上げられてしまいます。結局この女性は管理組合とデベロッパーが用意した第3の選択肢、すなわち、住戸をデベロッパーに売り渡し、建替え後のマンションの1室に終身賃貸で入居する道を選びました。1戸建てと違い、所有権を持ちながら、自分ひとりでは建替えも修繕もままらなない分譲マンション。そこには大きな問題があることをクローズアップし、警鐘を鳴らす内容の番組でした。