定時離陸率と中古価格

一等航空整備士が本職のマンション管理士K氏の案内で、羽田の整備場を見学させてもらいました。米同時多発テロ以来、警備が厳しくなっているということで、入館証を無くすと大変。クリップではなく、安全ピンでシャツにしっかり留めて、やや緊張気味に入館しました。1枚で600万円もするというチタン製のエンジンのファンブレードや、YS11のターボプロップエンジン、計器やスイッチがたくさん並んだコックピットの展示物を見せてもらいながら、奥の扉を抜けると、そこは高さ40m、幅170m、奥行105mの巨大な格納庫。東京ドームに匹敵する巨大な空間に圧倒されて、思わず歓声が上がりました。今日は300人乗りの大型旅客機A300が2機並んで整備中で、機体のあちこちでたくさんの整備士が、ガリバーを取り囲んだ小人国の兵士のように忙しそうに動き回っていました。マンションの場合、足場を組むのが大変ですので、大規模修繕のタイミングで出来るだけの修繕を盛り込むのに対して、飛行機の場合は、数時間で足場を組むことができるので、項目別に最適のタイミングで点検整備を行うのだそうです。ちなみに飛行機の耐用年数は20年程度だそうですが、しっかりとした整備さえ行っていれば、いつまでも飛び続けることができるとのこと。また、飛行機の整備の良さを示すのが、「定時離陸率」。予定時刻の15分遅れ以内に離陸できた割合を表すそうで、これが高い機体は中古市場で高く売れるそうです。しっかりとした整備をすることによって、安全で快適な空の旅を実現すると同時に、資産価値の維持にも貢献しているということですね。マンション管理とも共通した部分が多く、興味深く見学ができました。中古マンションの価格も、単に立地条件と専有面積と築年数だけで決まってしまうのではなく、管理の良し悪しが正しく価格に反映されるような評価基準が欲しいと思いました。