歌舞伎町ビル惨事を踏まえた消防法の改正

建築総合サイト「KEN-Platz」の2003/06/13付ニュース「歌舞伎町ビル惨事踏まえ、消防法施行規則の一部改正」によると、消防法施行規則の一部が2003/06/13に改正されたそうです。施行は2003/10/01。具体的な改正点としては、特定防火対象物で収容人員が300人以上のものの防火管理者を対象に甲種防火管理講習の再講習(3時間程度)を義務付けたことや、3階以上の階又は地階からの地上に通ずる直通階段が1つしかない特定1階段防火対象物については、(1)階段室に設ける自動火災報知設備の感知器設置基準の見直し、(2)再鳴動機能付きの自動火災報知設備の設置の義務付け、(3)避難器具の設置基準の見直し、避難はしごの基準の明確化などがあります。基本的に2002年9月の東京・歌舞伎町ビル火災を踏まえ、劇場、飲食店、百貨店、ホテルなど不特定多数の者が利用する防火対象物を対象にした改正ですので、とりあえずマンションのような共同住宅で変更が必要になるところはなさそうです。一方、同じ歌舞伎町ビル火災の反省により2002/10/25に施行された消防法の改正では、防火対象物の管理権原者は、避難の支障になる物件を置かないように管理することなどが義務付けられました。マンションの共用廊下やベランダは非常時の避難通路となりますので、障害になるようなものを置いてはいけないことはもちろんですが、実際には軽い気持ちで自転車やバイクなどを置いてしまう「プチ違反」がなかなかなくならないのも事実です。しかし、たとえ平時には通行の邪魔になっていないとしても、大地震が発生して転倒した自転車やバイクが通路やドアを塞いでしまう危険性や、バイクからのガソリンの流出・引火などを考えると結構怖いものがあります。マンションという集合住宅の中で暮らしていく以上、規約を遵守することは住人として当然の責務ですが、違反者に対して単に規約の遵守を訴えるよりは、むしろ、たった一人の違反者のせいで、他の住人全員がどのような危険を背負わされることになるのか、その責任の重大性に気づいてもらうことの方が大事なのではないかと思います。