改正区分所有法で可能になった「ネット集会」

asahi.com : MYTOWN : 東京の「企画特集」の「最新 マンション考現学」の2003/06/06付記事「ネット集会 鎌野邦樹氏」で、千葉大学法経学部教授の鎌野邦樹氏が2003/06/01に制定された改正区分所有法で可能になった「ネット集会」について触れられています。従来は集会による決議か区分所有者全員の賛成による書面決議しか認められていませんでしたが、区分所有法の改正により、電磁的方法による決議が可能になりました。この「ネット集会」は、リゾートマンションやワンルームマンションのように区分所有者による集会が開きにくいケースでは今後有効な手段となるでしょう。ただし電磁的方法による決議を行うためには、そのことについて事前に区分所有者全員の承諾を得ておかなければなりません。この承諾を得る方法は2003/06/01に施行された建物の区分所有等に関する法律施行規則の第5条で定めらており、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得ておく必要があります。また、決議事項によっては電磁的方法が適切でない場合もあるため、たとえ事前に全員の承諾を得ていても、電磁的方法による決議を拒む旨の申出が一人からでもあったときは、できなくなります。なお、上の法律施行規則では、議事録等の電磁的方法による保管に関しては、2003/04/15の「今日の話題」で紹介したように、署名押印に代わる措置として、「電子署名及び認証業務に関する法律」の規定が適用されていますので、本人認証のために、法に基く認証事業者から電子証明書を取得する必要があるなど、実現するにはコスト面や運用面で乗り越えなければいけない課題があります。しかし、電磁的方法による決議に関しては特に本人認証は要求されていないため、区分所有者全員の合意があれば、すぐにでも「ネット集会」が可能になります。ただし、これは半面「本人のなりすまし」による議決権行使が比較的容易に行えてしまうという危険性もあることを意味します。電子認証ほどの厳格な仕組みは必要ないとしても、本人しか知らないパスワードを事前に連絡して、それを併記の上で議決権を行使してもらったり、決議事項を連絡する際の送信メールに1通ずつランダムの番号を割り振り、その送信メールを添付した形で返信してもらう形にするなどの工夫が必要になるかもしれません。