ETVスペシャル「同潤会アパートが語る昭和史」

深夜にNHK教育テレビの「ETVスペシャル」で、2003/06/21放送の「同潤会アパートが語る昭和史」の再放送をやっていました。建替えが決まった青山アパート、江戸川アパート、大塚女子アパートの3つの物語を、そこの住人たちを主人公にオムニバスでつづったもので、NHKアナウンサーの黒田あゆみ氏をキャスターに、スタジオゲストとして江戸川アパートの元住人である女優の坪内ミキ子氏(1940年から居住)と建築家の丸山欣也氏、大塚女子アパートの元住人である作家の戸川昌子氏(1948?63年に居住)、東京大学教授の藤森照伸氏を迎えての放送でした。共通して言えるのは、そこの住人たちが縁あってそのアパートに住み始め、互いのプライバシーを大切にしながらも、共同の娯楽室や浴室による住人同士の交流で独自のコミュニティーを作り上げてきたという歴史。江戸川アパートの場合はその中庭がコミュニティーの中心であり、大塚女子アパートでは屋上のサンルームが果たした役割が大きかったようです。うちのマンションには中庭もサンルームもないため、梅雨時の天気の悪い日は結構小さな子供たちがエントランスや共用廊下で遊んだりしていますが、狭いながらもこのような共用スペースで住人同士が顔を合わせることがコミュニティー形成の基本なのかもしれません。藤森照伸氏は、古くから区分所有の集合住宅が定着している欧米と比較して、歴史の浅い日本では分譲マンションの住人の意識が低いことが問題であるとし、「かつて農民が自分の土地を守るという共通の利益を目的として地域コミュニティーを形成してきたのと同様に、分譲マンションの資産価値の維持という共通の利益を目的としたコミュニティーを形成する必要がある」と結んでいましたが、それに対して戸川昌子氏は「マンションに対する愛情が一番大切」と訴えていたことが印象的でした。たしかに利益だけを考えてしまうと、私もマンション管理などには一切関わらず、会社の仕事に集中していたほうがはるかに効率的ですので、私の行動は説明がつかなくなりますね(^_^)。やはり私の活動の原点は自分の住むマンションに対する愛情にあり、同じようにマンションに対して愛情を持つ人たちを支援したいという気持ちが原動力になっているようです。