ペット規約と売主の責任

日経住宅サーチの連載コーナー「住宅ねっと相談室」の2003/07/16付け記事で、「ペット規約と売主の責任」についての質問が載せられています。新築マンションの「小鳥観賞用の魚類以外の動物で、鳴き声、臭気、抜け毛、抜羽等により、他の居住者等に迷惑をかけるおそれのある動物、または危害を加えるおそれのある動物を飼育することをしてはならない」という規約を「犬の飼育禁止」と理解して購入したものの、実際には犬を共用部分を歩かせて飼っている住人がいるというもの。ただし、相談者は規約に曖昧さがあることは理解しており、ペットの飼育者に対して苦情を訴えているものでもありません。問題は売主が購入予定者に対して「犬の飼育は禁止されていない」と説明して販売していたこと。このような説明を受けたら、「売主から許可をもらった」と誤解してペットを飼う人も多いかもしれませんが、「曖昧規約=犬の飼育可」という説明は間違いで、犬の鳴き声や、犬が共用廊下を歩いたり、犬とエレベーターに同乗することを迷惑と感じるかどうかは個人差がありますので、自分の飼育するペットが規約違反とされるリスクも常につきまとう訳です。従って、売主は単に「禁止されていない」と説明するのではなく、「禁止ではないが、他の居住者が迷惑と感じるようなことがあると、規約違反とみなされるリスクもある」ときちんと説明すべきだったのでしょうし、逆に冒頭の規約を「ペット禁止」と誤解する購入者がないような配慮も必要だったのでしょう。上のケースでは、「ペット可」との説明を受けて購入した住人が、その後規約違反を問われてペットを手放すなどの損害を被った場合に売主に賠償請求ができる程度でしょうか。いずれにしても、2003/06/25の「今日の話題」で紹介したように、自分の住むマンションが「ペット禁止」なのか「ペット可」なのかという基本的なことも理解していない居住者が存在することも現実です。規約に書かれていることは全員が理解していると思ったら大間違い。販売時に規約を説明するのは売主の仕事ですが、入居後はそれは管理組合の仕事になります。売主の説明が不十分だった点を含めて、あとは管理組合、すなわち自分たちで解決していかなければいけないことを自覚する必要があるでしょう。