隣の家のガーデニングのせいで蚊が大量発生!

日本テレビの2003/08/03(日)放送「行列のできる法律相談所」の3人目の相談者はマンションの10階に住む32歳の主婦。相談内容は「隣の家のガーデニングのせいで蚊が大量発生!なんとかしてほしい!」というものでした。隣の部屋のベランダにガーデニングで置かれた水草の鉢の手入れが悪く、蚊が大量発生。一晩中蚊に悩まされた挙句、大好きなベランダに出ることも出来ないため、隣の住人にガーデニングを止めるように要求しますが、「ベランダで何をしようと自分の勝手」と一蹴されて、相談者が「訴えてやる!」と激怒する事件でした。さあ、果たして隣のガーデニングを止めさせることができるのか、史上最強の弁護士軍団の答えは?ということで、住田弁護士は「ガーデニング自体は所有者の権利であり、差し止めをするには、それなりの必要性と相当な手段がある」とし、「やめさせることはできない」と主張。北村弁護士は「やめさせられないが、水を1週間に2回替えなさい、という請求はできる」とアドバイス。丸山弁護士はマンションの問題にはあまり興味がないのか、「蚊の食うほどにも思わない」「蚊の鳴くような声」という言い回しを例に、「昔から蚊ってのはたいしたことがないと相場が決まってるので、損害賠償も取れないし、当然差し止めなんかはできない」とギャグに終始。橋下弁護士はベランダが共用部分であることを根拠に、区分所有法により「共同の利益に反することは止めさせることができる」と主張しましたが、住田弁護士から、「ベランダが共用部分というのは防災上の理由からで、ガーデニングを止めろというのは行き過ぎた考え方」と、区分所有法の理解の甘さを指摘されてました。結局、番組が出した結論は、「隣のガーデニングをやめさせられる可能性は20%だが、水を替えさせたり、家庭用殺虫器を設置させるなどの対策を請求することは可能」というものでした。みなさんだったら、どう回答します?法的には色々と議論の余地はあると思いますが、いずれにしても、「共同の利益に反する行為」とまでは言い切れないような今回のケースでは、仮に裁判に訴えても何の解決にもならないことは間違いなさそうです。そもそも、この相談者と隣人は日頃からあまり仲が良くない状態で、たまたま蚊の大量発生がきっかけで、口論となり、感情的に「訴えてやる!」となったに過ぎません。もともとは見ず知らずの他人同士が同じ建物の中で集団生活をしていくのですから、どのマンションでも似たような住人間のトラブルは付き物です。しかし、上のケースでも、マンション内のちょっとした問題や悩み事を相談者がひとりで抱え込まずに、管理員や管理組合に気軽に相談できるような仕組みなり雰囲気があったなら、それほど問題がこじれずに済んだように思います。マンション内に良好なコミュニティーを形成することの重要性については、今さら言うまでもありませんが、このような住人間のトラブルを管理組合がどのように予防したり解決したりできるかで、その管理組合の成熟度が試されると言えるでしょう。