「諏訪町住宅」が建替えの合意形成に至った要因

毎日インタラクティブの「住宅情報」の「住宅関連ニュース」の2003/08/29付け記事「合意の要因は? マンション建て替え「円滑化法」第1号、東京・「諏訪町住宅」」で、区分所有者全員の合意で建替えを決め、「マンション建替え円滑化法」適用の第1号となった東京・高田馬場の「諏訪町住宅」の合意形成に至った要因が紹介されています。2003/07/15の「今日の話題」で紹介したテレビのドキュメンタリー番組では、住人の不安を取り除くデベロッパーの女性社員の存在がクローズアップされていましたが、その一方で、管理組合としてはコンサルタント、デベロッパーなどの選定をすべて公開コンペにしたり、進行状況をすべて公開するなど、全員に情報を行き渡らせるよう努めたそうです。やはり情報公開が合意形成の基本ということですね。この「諏訪町住宅」では、もともと等価交換により区分所有者は費用負担なく新しいマンションの住戸を取得できるという好条件があった上、全面改修してもばく大な費用の割に住環境がそれほど改善されないため、建て替えしか選択の余地がないのは異論がなかったそうです。しかし、総論賛成でも、各論や具体的プランに入ると異論が出され意見の統一は容易ではなかったとのこと。結局、全員合意を目指して建て替え決議を半年延期し、同意を得る努力を続けたことは、せっかく建替えても一部の住人に不満が残るようではその後の住環境にとってマイナスになるという意識が働いた結果でしょう。そのような配慮もあり、あえて建替え決議前に新しい住戸の申込・抽選を行ったことも注目に値します。マンションの建替えは快適な住環境を得るための手段であって目的ではありません。何のために建替えを決議するのか、誰のための建替えなのか、最後までそのことを見失わずに進めてきたことが成功の要因と言えるでしょう。