マンション管理組合の3兆円を狙え

日経新聞2003/09/07付け朝刊17面「Sunday Nikkei」の記事「マンション管理組合の3兆円を狙え」で、総額3兆円にのぼると言われる管理費・修繕積立金の資金を狙ったニュービジネスが紹介されています。この「3兆円」はマンション問題研究会の先田政弘代表が試算したもので、管理費の年間合計が1兆5千億、修繕積立金の残高が1兆5千億だそうです。この3兆円市場を狙った新規参入組として紹介されているのは、管理会社への委託をやめて自主管理に切り替えた管理組合をサポートするNPOフュージョン、管理会社の変更などにより管理費の削減を請け負い、削減額の半分を成功報酬として受け取るソーシャルジャッジメントシステム、資産価値の維持を訴えて十を越える管理組合を顧問契約を締結したファイナンシャルプランナーや、ペイオフ解禁を前に修繕積立金の争奪戦を繰り広げる金融機関など。業者間の競争が激化する一方で、法外なコンサル料を長期修繕計画に盛り込む一級建築士が現れるなど、注意も必要であり、管理組合には業者を見抜く力が必要であると結論付けています。とは言っても、多くの管理組合が輪番制や抽選で役員を決め、専門知識も持たず、時間的にも余裕のない役員が手探りの状態で管理組合運営を進めているのが現状ですから、業者選定のノウハウまで期待するのは難しいことでしょう。忙しい毎日の中、休日を潰して管理組合役員向けのセミナーに出向くような勉強熱心な役員さんがいらっしゃることも事実ですが、残念ながらそのような役員さんはごく少数派です。本来、マンション管理士はそのような管理組合を支援する目的で誕生した訳ですが、その活躍の場もまだ限られているのが現状でしょう。結局のところ、自分の進むべき道は人から教えられるものではなく、自分自身で見つける努力をしなければならない訳で、そのことにマンション住民に気づいてもらうことが何よりも大事なことなのかもしれません。マンション管理適正化法により、国や地方自治体にはマンション管理の適正化に資するために必要な情報や資料を提供することが義務付けられましたが、それはあくまでも「管理組合からの求めに応じて」ということ。自分たちで求めない限り、誰も助けてくれないのだということをまず自覚する必要があるでしょう。