オフィスビルの用途転用

東京都ホームページの「報道発表資料」の2003/09/10付記事「「オフィスビル用途転用のいま」の発行について」で、東京都が、オフィスビルを住宅やSOHO、高齢者向けの福祉施設等に転用する際の留意事項や事例をまとめたパンフレットを発行したことが紹介されています。このパンフレットは、東京都住宅局のホームページからPDFファイルでダウンロード可能。それによると、住宅の都心回帰の傾向により、都内ではオフィスよりも住宅の賃料が高くなるという現象(レントギャップ)があることをデータで示し、いくつかの転用事例を紹介しています。そのうちのひとつが、文京区の平成4年築のRC造の8階建ビルを8戸の分譲マンションに転用した事例。オフィスビルが供給過剰となる「2003年問題」の影響を最も大きく受けるのが、小規模のオフィスビルであり、その結果生まれるのは上の事例のように戸数が極端に少ない分譲マンションということになりそうです。このような「極小規模マンション」では、コミュニティーの形成は比較的容易であるものの、スケールメリットが少ないことから管理費が割高となる傾向があり、また一部の「声の大きい」住人の影響力が強く現れたり、元オーナーが多くの議決権や原始規約で特別な利益を有していたりなど、管理組合運営上の様々な問題を潜在的に抱えていることがあります。行政としては安易な転用を勧めるだけでなく、耐震基準や採光性など建築法規による留意事項に加えて、「極小規模マンション」がもたらす管理の難しさについての一定の配慮も必要のように感じました。