マンション管理士任意講習の第2日目

マンション管理士任意講習の第2日目。午前中は千葉大教授の鎌野邦樹氏による「標準管理規約改正の動向について」と、建物診断設計事業協同組合の山口実氏による「マンション管理士が知っておくべきマンションの建築・設備の実務的知識」。鎌野氏は1時間の講義を30分遅刻でスタート。現在標準管理規約改正の論点となっているポイントを駆け足で紹介し、(1)普通決議で可能な共用部分の変更について、階段に手すりやスロープをつける場合などをコメントに例示すべきかどうか、(2)理事長の権限として、植栽の剪定や大震災などの非常時に特別な権限を与えるべきかどうか、(3)役員の任期を任期2年の毎年半数改選と明記すべきかどうか、(4)役員の資格として同居の親族・貸借人を含めるべきかどうかなどの点で、議論が続いていることを明らかにしました。特に、マンション管理士の活用については、管理組合として予算措置も必要になることから、マンションに係わる専門家としての位置づけを本文またはコメントに明記することを検討しているそうです。山口氏は、大規模修繕工事には、住みながら行う工事であるためにベストの技術が選べない難しさがあるとし、その合意形成は「何が正しいかではなく、何を選択するかの話」として、コンサルとして情報は出すが、最後は管理組合が決めることという考え方を示しました。また、実際の現場の写真をプロジェクターで映しながら、仕上塗膜のハガレや、鉄筋の露出、タイルからのエフロ、笠木の割れなど、補修のポイントとなる点を紹介しました。特に機械式駐車場については、排水ポンプの管理を誰もしていないマンションが多いと警告し、ポンプ周りの清掃とフロートスイッチの動作テストを定期的に行うことを強く勧めました。午後は座学コースを選択したので、埼玉・首都圏・千葉・神奈川の各管理士会所属のマンション管理士による活動状況の報告を聴きました。埼玉の金子吉人氏は管理組合のネットワークづくりのコーディネーター役として、首都圏の親泊哲氏は全面委託管理と自主管理の2つのマンションと契約を締結した顧問管理士として、千葉の磯野重三郎氏は各市町村で行う相談会での相談員として、神奈川の水谷文彦氏は横浜市のモデル規約に基づく管理者としての業務受託を行う管理士として、それぞれ活躍中。Q&Aでは、報酬基準の設定や営業活動の方法、不得意分野をどうカバーするのかなどの質問が相次ぎました。特に、専業としてやって行けるかどうかの質問に対しては、全員が「やっていける」との力強い回答。しかし、その具体的な方法としては、士業として個人事業者のスタイルでやっていく方法と、マンション管理士の団体が受託する方法の2つに分かれました。Q&Aの中では自分の住むマンションのトラブルについての助言を求める質問もいくつか飛び出し、主催者がそのような場ではないと質問を遮る場面も(^_^;)。マンション管理士のネットワーク構築の重要性を改めて認識する講習会でした。