駐輪場の放置自転車の処理

日経住宅サーチの連載コーナー「住宅ねっと相談室」の2002/08/01付け記事で、マンション駐輪場の放置自転車の処理に悩む管理組合理事さんの相談に対するQ&Aが載せられています。金銭及びそれに匹敵する拾得物の場合は警察への届出義務と警察での6ヶ月の保管義務がありますが、所有者不明の自転車を、例えば1ヶ月の公示期間を設けた後に管理組合が処分することは問題ないとのこと(注)。さらに、駐輪シールの導入により、年1回、不要自転車の撤去作業を行うことが推奨されています。駐輪場不足はどこのマンションでも悩みの種のようで、駐輪場の増設を検討されている方も多いと思います。しかし、単に駐輪場に置かれているだけで、ほとんど使われることのない「放置」自転車も結構多いのではないでしょうか。マンションの限られた駐輪場を有効利用するには、あまり必要性のない自転車の廃棄を積極的に進めて、通勤や買い物等で本当に自転車を必要とする人に場所を譲ってもらえるように、住人のみなさんの理解と協力が必要になってきます。適正な駐輪場使用料を設定し、現状を十分に理解していただいた上で、限られた駐輪場を互いに譲り合って有効利用していただく。理想論に聞こえるかもしれませんが、本来集合住宅に住まうということはそういうことのはず。私の住むマンションは62戸で62台分の駐輪場しかありません。しかし、自転車を持たない住戸もあるので、抽選により2台目、3台目を置くことも可能になっています。昨年までは希望者が多く毎年抽選でしたが、今年は不要自転車の廃棄が進んだせいか、最初の募集では空きが生じてしまい、初めて追加募集を行ったほどです。マンションに良好なコミュニティーが形成されて、仲間意識が生まれれば、何でも自ら解決できるようになる。私はそう信じています。
(注)「1ヶ月の公示期間の後、管理組合が処分できる」というのは誤った見解であることを読者の方からご指摘いただきました(ありがとうございます)。たしかにマンションの敷地内とはいえ、管理組合が他人の所有物である自転車を勝手に処分できるはずありません。正しくは、一定期間の公示後、引き取りのないものは、遺失物として警察に届けます。そして、6ヶ月を経過した後、なおも引き取りのないものについては管理組合が所有権を取得しますので、自ら処分ができることになります。いずれにしても、所管の警察と連絡を取りながら、慎重に対応をすることをお勧めします。(2002/08/03追記)
(注2)マンションの敷地内は私有地なので、自転車の所有者が不明(無主物の動産)の場合は、管理者が自由に処分できる。したがって「1ヶ月の公示期間の後、管理組合が処分できる」のが正しいとのご意見もいただきました(ありがとうございます)。ただし、放置自転車を無主物の動産として考えてよいのか、遺失物として取り扱うべきなのかについては、意見が分かれるところのようです。最終的には裁判所の判断ということになると思いますが、私としては法律談義は望むところではありませんので、この場ではどちらの見解が正しいのかについては触れないことにします。管理組合の実務的には、所管の警察と協議しながら対応していくのが良いでしょう。(2002/08/05追記)