入居者名簿とプライバシー保護

8/05(月)から、国民全員に11桁の番号を割り当て、コンピューターで一元管理をする住宅基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が稼動を始めました。本来この住基ネットでの個人情報の扱いを制限する目的で立案された「個人情報保護法」が成立しない状態での見切り発車であるため、個人情報の流出を懸念する声も多く、実際に東京都杉並区など一部の地方自治体は不参加を決めました。マンションでの個人情報といえば、同居人全員の氏名、生年月日、勤務先等が記載されている入居者名簿の扱いには注意が必要でしょう。入居者名簿は、主に緊急時の連絡に使用されるものですが、その保管方法や使用目的等の運用ルールをしっかりと決めておかないと、トラブルになることがあります。入居者名簿をもとに居住者の年齢構成グラフを作成した管理組合が、居住者からクレームを受けたという例も聞いたことがあります。ただし、マンションに新しく入居される方は、ほとんど全員入居者名簿を提出してくださるようですが、数年後に内容の更新を依頼すると提出率はかなり減ってしまうようです。プライバシーの侵害を懸念するあまり、緊急時の連絡先が古いままというのも困りもの。万一建物が半壊または全壊するような災害が発生した場合、避難先の住人との連絡が取れないと復旧に向けての活動に大きな困難が生じることは、阪神淡路大震災の際に教訓として残りました。まずプライバシー保護のための運用ルールをしっかりと確立した上で、入居者名簿の重要性について住人のみなさんの理解を得ることが大事だと思います。