マンションのペット問題の本質と具体的な対応策

日経住宅サーチの「マンション管理サテライト」2002/08/12付記事「第9回 集合住宅でのペット飼育について」で、マンションのペット問題の本質とその具体的な対応策が紹介されています。少子・高齢化の流れの中で、ペットは単なる愛玩動物ではなく、コンパニオンアニマル(伴侶動物)として考えられるようになっており、集合住宅でもペットを飼いたいという人が増えていることや、多くのマンションで「他の区分所有者に迷惑又は危害を加えるおそれのある動物を飼育すること」を禁止というあいまいな規約がトラブルの原因になっていることを紹介した上で、対応策としては、(1)管理組合として方向性を明確にすること、(2)ペット委員会を設立すること、(3)ペット飼育に関する使用細則を作成すること、が推奨されています。そして、最後にペットのトラブルの本質は人間同士のトラブルにあると看破した上で、「飼い主のマナー」が一番大事と結んでいます。私もペット問題の本質は人間同士のトラブルにあり、その多くはマンション内のコミュニティーが未成熟であることに起因していると考えています。そして上の記事に挙げられた3つの対応策は、それら自体に意味があるのではなく、むしろそれらを作る過程で居住者同士が密にコミュニケーションを取り合い、自由闊達に意見を交換し、力を合わせてマンション内のルールを作っていくというプロセスに意味があると思っています。残念ながらマンションには、「隣近所との煩わしい付き合いが不要」と誤解して住み始めた人が多く、集合住宅に住む上でのマナーや適性に欠けた居住者が多いのも事実です。しかし、管理組合が真面目に問題解決に取り組み、住人の意見を聴きながら、地道に改善活動を続けていれば、マンション全体に次第に理解が広まり、結果として良好なコミュニティーが形成されていくと信じています。そしてそのような良好なコミュニティーさえあれば、多くのトラブルは、住人自らが力を合わせて解決できるようになるのです。ペット問題に即効性のある良薬はありません。漢方薬のように時間をかけてマンションの体質改善を行っていくこと、すなわち良好なコミュニティーを作っていくことが解決のための一番の近道だと考えます。