神奈川マンション研究会シンポジウム「マンション管理適正化法のその後」

神奈川マンション研究会の主催で横浜情報文化センターにて行われたシンポジウム「マンション管理適正化法のその後」に参加してきました。定員200名の会場は立ち見も出るほどの盛況で、この問題に対する関心の高さと熱気を改めて感じました。高橋健一郎弁護士による基調報告では、マンション管理研究会で行ったアンケート調査結果の報告があり、マンション適正化法が要求する重要事項説明や財産の分別管理がまだきちんと行われていないケースが多いことの指摘がありました。引き続き行われた石川惠美子弁護士を座長とするパネルディスカッションでは、国土交通省住宅局マンション管理対策室長の飯島正氏、神管ネット・浜管ネット会長の松野輝一氏、東急コミュニティー専務取締役の高梨奉男氏、弁護士の中村宏氏がパネリストとして参加し、意見交換が行われました。マンション管理士については、飯島氏からは「ごく一部のファイナンス関係のマンション管理士がペイオフ対策のブームで活躍中であることを除いては、本来期待していた分野で活躍している人は少ないのが現状で、国は様子見の状態。国としてはこの指とまれ式の組織化は考えていないので、自分で努力してほしい」とのエール。高梨氏は自身がマンション管理士でもあることから、「合格しても実務経験がないと業としてやっていくのは無理であり、多くのマンション管理士が同じ悩みを持っていると思う」との感想。松野氏からは「マンション管理士は本来管理組合の味方であるが、本当に味方をしてくれるのかどうかはまだ見えていない状態で、管理組合も様子見の段階」との意見がありました。さらに飯島氏は、「区分所有法の改正に伴って、標準管理規約や標準管理委託契約書の改正が行われるため、これらの中でマンション管理士の位置づけについて、何か仕掛けが出来ないか検討中である」とし、具体的には、「標準管理規約のコメントに記載したい」とのこと。またマンション管理士の最終的な数としては、「全国6万の管理組合の10管理組合に1人のホームドクター」として考えているとのことで、「マンション管理士は精神としてはボランティアでも、仕事で食っていける体制作りをしたい」との発言もありました。また、管理会社出身のマンション管理士が本当に中立の立場で管理組合のために動けるのかとの質問もありましたが、高梨氏は「士会の倫理規定の中で動いてもらうしかない」と答えるに留まりました。いろいろと感じるところが多いシンポジウムでしたが、コメントは別の機会に譲ることにして、今日はとりあえず報告のみにさせていただきます。

前の記事

記憶のピラミッド