マトリックスの世界

住宅新報Housing TIMESの2002/10/01付ニュースによると、持家系住宅の純増加数に占める分譲マンションの割合が2001年に53.7%に達したことが長谷工総研の調べで分かったそうです。1971年には23.2%だったそうですので、30年間で2倍以上に増えたことになります。というより、持家の純増加数でマンションの割合が半分以上になったということが注目に値するでしょう。平成12年度末には386万戸だったマンションストックは平成13年度末には406万戸に達し、国民の1割に相当する1000万人以上が居住する住形態として定着しました。地価の下落が続く中で、これだけマンションを選択する人が増えてきたというのは、単に土地の高度利用ということだけではなく、一戸建てでは得られないマンション住まいの快適さや利便性が評価されてきた証だと思います。しかしその一方で、居住者の理解不足等により、建物・設備の維持管理から、管理費の滞納、居住者のマナーに至るまで様々なトラブルを抱えているのも事実です。実際、何かのきっかけでマンション管理に関心を持つようになった方は、みなさん異口同音にご自身のマンションは問題が山積みとおっしゃられます。私も何も知らずに輪番制で新任理事になった当時、諸先輩方のホームページ等で勉強させていただいた結果、自分のマンションに問題が山積みであることを知ったときは、「マトリックス」の存在を初めて知ったネオのような心境になりました。それを裏返すと、どのマンションでも最初は問題が山積みの状態からゲームがスタートするということになります。一番問題なのは、まだそのことに気がつかないでいるマンションにお住まいの方々かもしれません。そのような方々に啓蒙活動を行っていくのも、私たちマンション管理士に課せられた重要な任務のひとつであると考えます。