区分所有法改正案についての参考人の意見陳述と質疑

衆議院TVの2002/11/13付ビデオライブラリーに、国土交通委員会で審議中の区分所有法・マンション建替え円滑化法の改正案について、参考人として千葉大教授の丸山英気氏、マンション管理士の千代崎一夫氏、全管連会長の穐山精吾氏の3名が招致され、意見陳述と質疑が行われた模様が収録されています。それによると、規約の適正化が盛り込まれたり、管理者の原告適格が認められたことなど、今回の改正案には、概ね評価がある一方で、土壇場になって建替え決議から「築30年」等の客観的要件が排除された点には、やはり疑問の声が上がっています。丸山氏は所有権が多数決によって奪われる点を問題視し、気軽に建替えができないように「築30年」の客観的要件は残すべきだったと主張。穐山氏は建替え費用と修繕費用との比較で、50%を修繕費用が超えるならば建て替えていいという一つの判断基準を設けるべきとの持論を披瀝しました。一方千代崎氏はむしろ建替えよりもマンションの長寿命化を図るべきとし、築25年を過ぎたマンションに維持管理に対しての助成制度を設けることを要望しました。ただし、団地の一括建替え制度が突如現れた点については、丸山氏は法制審議会でほとんど議論されていない点を問題視しつつも、現実の問題に対応する必要があったことについては一定の理解を示しました。また、穐山氏からは、管理組合が活性化しないのは、資質のありなしに関わらず役員が持ち回りになっている点と、「管理組合」の存在自体が法的にしっかり定められていない点にあるとし、これらを変えていくことが必要との意見もありましたが、これは丸山氏の説によれば、日本の管理組合が住人が自治を行うアメリカ型であるのに、法律は職業専門家が管理者となるヨーロッパ型になっている点に問題がありそうです。丸山氏からは、これらの溝を埋める役割をマンション管理士に期待するとの発言もあり、マンション管理士の果たすべき役割は今後ますます大きくなっていくものと思われます。